2018年2月27日火曜日

[ITmedia ビジネスオンライン] かっぱ寿司が「丼もの」を始める理由

 回転すしチェーン「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトは2月26日、平日の開店時〜午後2時限定で、丼メニュー「かっぱのごち丼」の提供を一部店舗で始めた。マグロやサーモンなど人気のネタを使った「イチ推し超絶 海鮮丼」(税別690円)など5種類。「DTH」(デミたまハンバーグ丼、税別490円)など、海鮮以外のメニューもそろえる。

photo かっぱ寿司の「丼もの」メニューの一部

 実施店舗は、川崎市ノ坪店(川崎市)、須坂店(長野県須坂市)、 仙台中野栄店(仙台市)など8店。かっぱ寿司では通常、シャリをロボットが成型し、スタッフがネタを乗せる“半オートメーション体制”を採用しているが、丼ものはスタッフが調理する必要があるため、当初は人手が充足している店舗を選んだという。

 現在はトライアル段階。今後は売り上げを踏まえ、全店舗への拡大を検討する。

丼メニューを始めた狙いは?

 丼メニューを始めた狙いについて、カッパ・クリエイトは「昨秋から展開する、平日の売り上げを強化するプロジェクトの一環。顧客調査で『平日ならではのお得なメニューが欲しい』『昼食向けのメニューが欲しい』という声が挙がったため、開発に踏み切った」(マーケティング部、以下同)と説明。

 「当社の顧客は夕食や休日の来店が多いが、丼ものの展開によって平日昼に来店する習慣をつけてもらいたい。ビジネスパーソンなど、これまで接触が難しかった顧客層の獲得も目的の1つだ」という。

 回転すしチェーンでは、スシローが昨年3月、静岡県内の店舗限定で「エビ天丼」「マグロ天丼」などを提供。くら寿司は昨年末から、だしを多めに使用した「くら出汁」シリーズの「うな丼」「天丼」「牛丼」をメニューに加えている。

 はま寿司は丼メニューこそ提供していないが、牛丼チェーン「すき家」「なか卯」を同じゼンショーホールディングス傘下に持つメリットを生かし、ローストビーフ、合鴨、炭火焼牛カルビ、生ハム――といった肉類をネタに用いた“肉すし”を充実させている。

 かっぱ寿司が丼メニューを始めた背景には、こうした競合の動きもあるという。カッパ・クリエイトは「『ハンバーグ丼』『ローストビーフ丼』など、他社が提供していないメニューを打ち出すことで差別化を図りたい」と狙いを話す。

photo “肉丼”も充実している

 「海鮮丼は、同じコロワイドグループのバンノウ水産の調達力を生かして開発した。人気のネタをふんだんに用いつつも、価格を抑えられたのはそのためだ」という。

さらなる業績改善につながるか

 かっぱ寿司はかつて、“安かろう、悪かろう”のマイナスイメージがつき、顧客離れが進んだ結果、2017年3月期には59億円の赤字を計上した。その後は社長交代などを経て、「食べ放題」「1皿50円」などの生き残りに向けた施策を次々と展開。18年3月期は、最終黒字(7億8000万円)への転換を見込んでいる。

 かっぱ寿司は丼メニューの展開を、さらなる業績改善につなげられるのだろうか。

photo 食べ放題を業績改善につなげている(=2017年10月)

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