Adobe SystemsとNVIDIAが、「Adobe Creative Cloud」向けの新たな人工知能(AI)およびディープラーニングサービスの提供で提携したことを明らかにした。
この発表は米国時間3月28日、ラスベガスで開催されている「Adobe Summit 2018」の基調講演の中で行われた。発表に際してはAdobeの最高経営責任者(CEO)兼社長を務めるShantanu Narayen氏に加え、NVIDIAの創業者でCEOのJensen Huang氏も登壇した。
両社のCEOは、この提携について説明し、AdobeのAIおよび機械学習フレームワーク「Adobe Sensei」をNVIDIAのGPU向けに最適化する取り組みを明らかにした。
今回発表された提携は、AdobeがSenseiのAPIの可用性を高め、まだSenseiを使っていない開発者、データサイエンティスト、パートナーにSenseiの利用を広げるうえで役立つものと期待されている。
「NVIDIAが持つクラス随一のAI技術とAdobeの第一級のクリエイティブおよびデジタルソリューションを組み合わせ、そのすべてにSenseiを利用することで、さらに優れたAIサービスを消費者と開発者により速やかに提供可能になる」とNarayen氏は語っている。
「NVIDIAと提携し、クリエイティブやマーケティングの分野、さらには没入型メディアなどの刺激的な新しい分野で、新たな可能性を開くことを楽しみにしている」と、Narayen氏は続けた。
Senseiは「Adobe Cloud Platform」に組み込まれたフレームワークおよびインテリジェントサービス群で、その狙いはデジタルエクスペリエンスの設計と提供をさらに強化することにある。
「AIは究極のアシスタントだ。アーティストにとっては、自らの創造性をさらに高めてくれる魅力的な機能を備えた素晴らしい存在であり、企業にとっては、その業種を問わず、新たな知見を得て効率を高める取り組みを支援してくれる」とNVIDIAのHuang氏は述べている。
「われわれはAdobeとの提携により、クリエイティブやマーケティングの分野で活動する膨大な数の人々にAIを届け、少し前まで想像もできなかった成果を実現するツールを提供する」と、Huang氏は提携のメリットを強調した。
AdobeとNVIDIAは、10年以上前から提携関係にあり、Adobeのクリエイティブおよびデジタルエクスペリエンス分野の製品をGPUで強化する取り組みを続けてきた。その成果の1つが、「Adobe Character Animator CC」の自動リップシンクや、「Adobe Photoshop CC」の顔認識技術を利用した編集など、Senseiの活用によって実現した機能だ。また、「Adobe Stock」や「Adobe Photoshop Lightroom CC」の画像分析や、「Adobe Experience Manager」の自動ダグ付けなど、クラウドをベースとしたAIおよび機械学習の製品や機能もある。
両社はまた、クラウドやエッジコンピューティングの分野で、SenseiのAIサービスをNVIDIAのハードウェア向けに最適化することも計画している。
さらに両社のCEOは、SenseiのAIサービスをパッケージ化し、NVIDIAの開発者エコシステムに提供する計画も明らかにした。これには、複合現実(MR)や、NVIDIAの新たなリアルタイムレイトレーシング技術「NVIDIA RTX」を使った「次世代」レンダリングなど、クリエイティブな媒体を対象としたサービスも含まれている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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