4月6日、総務省の諮問機関である電波監理審議会が開催され、楽天に対して、1.7GHz帯の免許が付与されることが決定した。
楽天は2019年10月にサービス開始を計画する。料金プランはMVNOの楽天モバイルで提供しているプランと同じになるという。また法人向けや大容量プランも準備中とのことだ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年4月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
今回、周波数の割り当てを受けたNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天に対しては、開設計画の認定にあたって条件が付与されている。特に楽天に関しては、新規参入ということもあり、3社とは別の条件も加えられている。
特に注目なのは「他の既存事業者のネットワークを利用する場合においても、携帯電話事業者は自らのネットワークを構築して事業展開を図るという原則に留意すること」とある。
つまり、「NTTドコモにネットワークを借りてサービスを提供してもいいけど、ちゃんと自分でもネットワークを構築しろよ」と釘を刺した格好だ。
楽天としては、すでにNTTドコモのMVNOであることから、MVNOとして全国網のサービスを提供しつつ、自社でネットワークを構築していくという計画なのだろう。もちろん、NTTドコモからローミングでネットワークを借りるという手もある。
ただ、最近のNTTドコモ側の感触を見る限り、「楽天がキャリアになるなら甘やかすことはしない」という雰囲気が漂ってくる。「MNOとMVNOは両立しない」ということで、MNOとしてサービス提供するなら、MVNOとして契約は打ち切る可能性もありそうなのだ。MVNOとして好条件でネットワークは借りれなくなり、ローミングとして高額な接続料をふっかけられる事も考えられそうだ。
NTTドコモとしても、MVNOの契約者数としてカウントされていたユーザーが、そのまま他社である楽天に移ってしまうのだから、黙って指をくわえているわけにはいかないだろう。
楽天が携帯電話事業への参入を表明して数ヶ月が経つが、いまだに「なぜ、イチから参入するのか。いまから全国に基地局を敷設するメリットが全く見えない」というのが正直な感想だ。
MVNOとしての限界を感じているならば、IIJのようにHLR/HSSを構築して、自社でSIMカードを発行したり、料金体系を自社で構築した方がよっぽど効率的にオリジナルサービスを作れるのではないかと思う。現状、IIJは音声通話サービスを提供できていないが、それでも、交渉次第では何とかなるのではないか。
楽天は今回の携帯電話事業参入に6000億円の初期投資を準備している。一方で、IIJがHLR/HSSを構築するのに設備投資は30億円を計画していた。
楽天とIIJの投資額は200倍もの違いがある。それで、やれることは大差ないが、片方はイチから全国に2万以上の基地局を設置しなければならない。一方はすでに全国でネットワークを網羅済みだ。もちろん5Gへの移行もスムーズだろう。
三木谷浩史社長は「4Gしかやらないから勝算はある。世界で第4のキャリアは成功事例は多い」と語るが、HLR/HSSを自社で構築するという方法を検討したことはなかったのだろうか。
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