特集「あの職場が“楽しい”理由」:
「仕事が楽しい!」と思って働きたい。多くのビジネスパーソンがそう思っているのではないだろうか。みんながイキイキと働くことができれば、職場に活気があふれ、生産性向上も期待できる。社員が楽しく、快適に働くために、どんな取り組みや環境づくりが有効だろうか。事例から探る。
なぜ自分はこの仕事をしているのか? ウチの会社はどのように社会に貢献しているの? 見直す機会は最近あっただろうか。
そのきっかけづくりに有効なのが、社内イベントだ。社内イベントといえば、社員が楽しく交流するために開催するイメージがあるが、それだけではない。最も大切なのは、会社や仕事、一緒に働く人たちについて理解を深め、モチベーション向上につなげることだ。
とはいっても、社内イベントに社員全員が積極的に参加するとは限らない。どうすれば、社内活性化につながる取り組みにできるのだろうか。社内イベントや社内報などの企業内コミュニケーション施策支援を手掛けるゼロインで、数多くの現場を経験している担当者に、成功のポイントや事例について聞いた。
徐々に熱を上げていく――周年イベントの事例
「イベント本番に向けて、徐々に熱量を増やしていく。それによって、当たり前のようにやってきた仕事が『実はすごい』ことだと感じてもらえました」
そう振り返るのは、ゼロインの増田祐己さん。ある印刷会社の創業50周年イベントプロデュースの依頼を受け、担当者として携わった経験を教えてくれた。
その会社は創業者が社長を務めており、50周年の節目を迎えて「社員に感謝の気持ちを伝えたい」とイベントを計画。営業担当の社員2人がプロジェクト担当に任命された。畑違いの業務を任された2人は、「何から手を付けたらいいのか……」と悩みを抱えながら、ゼロインにプロデュースを依頼した。
増田さんは当初の担当者の印象について、「できれば手間をかけずにやりたい、という気持ちが伝わってきた」と振り返る。その雰囲気を「変えてやろう」と意気込んで、プロジェクトをスタートさせた。
周年イベントといえば、創業時からの会社の歴史がメインテーマの1つになる。しかし、その会社には歴史をまとめた情報が少なく、「それまで、会社について語る場が全くなかった」(増田さん)。そこで、イベントのコンセプトを決める前に、1カ月かけて社長や社員にインタビューを繰り返した。丁寧に聞いていったのは、「どんな会社なのか」「50周年を機に、どんなことを知りたいか」といった内容だ。
その作業を繰り返すうちに、会社の「らしさ」が見えてきた。社長のほか、創業時を知る職人や事務員に話を聞くと、面白いエピソードがたくさん出てきたのだ。
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