特集「あの職場が“楽しい”理由」:
「仕事が楽しい!」と思って働きたい。多くのビジネスパーソンがそう思っているのではないだろうか。みんながイキイキと働くことができれば、職場に活気があふれ、生産性向上も期待できる。社員が楽しく、快適に働くために、どんな取り組みや環境づくりが有効だろうか。事例から探る。
日本の企業文化として根付いてきた「社歌」。企業を取り巻く環境の変化に伴い、社歌を作る狙いやプロセスも大きく変わっている。前回の記事では、社歌を新しく制作した企業の狙いや制作過程を紹介した。
社歌の作り方は多様になっている。どのように取り組めば、自社の狙いに合った効果的な社歌になるのだろうか。さまざまな企業の社歌を取材し、『社歌』などの著書があるジャーナリストの弓狩匡純氏に聞いた。
社歌は新鮮――若手が盛り上がる
――なぜ、社歌に注目する企業が増えているのでしょうか。
社歌は日本独自の企業文化で、100年の歴史があります。その中でも盛んに作られる時期があり、それは景気が絶好調の時期か不況の時期に重なります。現在は「第4次ブーム」だと捉えています。景気回復基調と言われながらも、その実感は伴っておらず、中小企業の倒産も多い。そんなときだからこそ、組織力を強めようとする企業が多いようです。数年前から運動会を復活させる企業が目立ってきたのもそのトレンドの表れでしょう。
また、1つの会社で勤め上げるという考え方が一般的とは言えなくなり、若手社員をどのように引き留めたらいいのか分からない、という経営者も多いです。「この会社にいたい」という満足感や帰属意識を高めるための方法を探している経営者が、社歌に興味を持つケースは多いと思います。
――しかし、古臭いイメージから、敬遠する若手も多いのでは?
大手企業で社歌を改定するときなど、役員クラスの人たちは「今どき社歌なんて、若い人はついてこないのでは」とビクビクしているのですが、いざやってみると、若い社員の方が盛り上がって、役員たちが驚くことも多いようです。
社歌といえば、「朝礼で斉唱」といったイメージがいまだにありますが、それは30年ほど前、バブル時代には廃れていった光景です。「歌わされる」という実体験がある世代は少なく、今は社歌を新鮮に感じる人が多い。どんどん若い人が参加して、「自分たち流」の社歌を生み出しています。社歌は社訓とは違い、自由度が高いのです。
――みんなが楽しめる社歌とはどのようなものでしょうか。効果的な社歌を作るポイントはありますか。
実は、出来上がったものよりも、「作る過程」が大事なのです。
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