理化学研究所と東レは4月17日、耐熱性と高いエネルギー変換効率(太陽光エネルギーを電力に変換する効率)を実現した、超薄型の有機太陽電池を開発したと発表した。熱を加えながら、衣服へ貼り付けられる。
厚さは3マイクロメートルで、曲げ伸ばしできる。同様の太陽電池は、耐熱性とエネルギー変換効率の両立が難しいとされていたが、新開発の電池は100度の加熱にも耐え、最大10%の効率を達成した。5センチ角の基板に110個の電池を搭載し、太陽光に似せた光を照射すると、最大36ミリワットの電力が得られたという。
材料の「半導体ポリマー」の分子構造を改め、耐熱性を向上させた。電池を加熱したホットプレート上に5分間置いた後、エネルギー変換効率の変化を調べたところ、従来材料を使ったものだと100度の加熱で20%程度減少したが、新しい電池ではほとんど変化がなかったという。
こうした耐熱性を生かし、アパレル分野で広く使われる「ホットメルト手法」を利用することで加熱しながら布地に接着できた。衣服への貼り付けだけでなく、車内など高温多湿の環境下でも安定して駆動する軽量な電源として活用が期待できるとしている。
研究成果は、米国アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」(電子版)に4月16日付(現地時間)で掲載された。
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