駐車場シェアサービスを展開するakippa(大阪府大阪市)が4月16日、官報に掲載した第9期決算公告(2017年12月31日現在)によれば、純損失は3億500万円の赤字(17年1月決算時は5億700万円の赤字)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は7億8700万円の赤字(同8億5100万円の赤字)だった。同社は17年11月に3億7000万円の減資を実施している。
akippaは2009年設立。もともとは携帯電話や求人広告の販売代理店事業を展開していたが、14年から駐車場シェアサービス「akippa」を始めた。駐車場シェアサービスは、個人や法人所有の駐車場や空きスペースを、貸し出す駐車場として登録、借り手とマッチングするサービス。
従来の駐車場サービスと比較すると、貸し手側は精算機や車止めといった初期投資が必要なく、貸し出す時間帯や日数も限定できるメリットがある。一方、借り手側は貸し手側の負担が少ない分、割安の料金設定で利用できることが多く、スマートフォンなどから簡単かつ1カ月前から予約できる点が特徴。akippaでは、15分単位で貸し出しできる。
17年時点のakippaの駐車場拠点数は1万7000拠点(業界首位のタイムズ24は約2万拠点)、会員数は60万人となっている。主な競合サービスは「軒先パーキング」(軒先、12年開始)、「B-Times」(タイムズ24、16年開始)、「toppi!」(三井不動産リアルティ、16年開始)「楽天パーキング」(楽天、17年開始)など。またソフトバンクも18年夏ごろをめどに参入予定だ。
akippaは、資金調達面では16年にDeNAなどから6億円、トヨタ自動車から数億円、17年に住友商事などから3.7億円と、総額約16億円以上を調達している。
ここがポイント
累積赤字10億円越えも、拠点数首位まではあと一息
前回決算に続き、赤字3億円のakippa。累積での赤字額は10億円を超え、調達した16億円をスタートアップらしく突っ込んでいます。流動資産2.7億円に対し、流動負債は9000万円となっているので、直近の資金繰りは問題なさそうですが、当面この規模の赤字を出すのであれば、さらなる資金調達もあるかもしれません。
スタートアップなので、赤字よりサービスの成長状況に注目すると、16年時点で4500拠点ほどだった拠点数は1万7000拠点まで、会員数も20万人から60万人まで増やしており、特に拠点数はこのペースであれば、近いうちに首位のタイムズ24を捉えそうです。
また、トヨタやDeNAの他、阪急不動産、三菱地所、マピオン、ガリバー、リクルートといった、自動車や不動産関連の大手企業とも度々提携を行っており、周辺業界の期待の高さも感じます。
気になる各拠点の稼働ポテンシャル
こうした状況を見ると順調そうな一方、気になる点もあるので、今回はもう少し考察してみたいと思います。まず最も成長を感じ、目を引く拠点数。確かに数的には首位のタイムズ24を捉えそうではあるものの、それが実際も額面通りかというとおそらくまだそうではありません。
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