富士フイルムホールディングス(HD)は29日、石油元売り最大手のJXTGホールディングス傘下にある細胞培養関連事業の2社を買収すると発表した。再生医療事業などヘルスケア分野を強化する狙い。株式取得の総額は約8億ドル(約850億円)。
買収するのは、アーバイン・サイエンティフィック・セールス・カンパニー(米カリフォルニア州)とアイエスジャパン(埼玉県戸田市)。6月までに全株式を取得し、完全子会社化する予定だ。
2社は細胞の培養の際に使われる、栄養を含んだ液状物質「培地」を手掛け、世界の製薬大手などに納入実績を持つ。2社で世界シェアの約10%を占めており、売上高は合わせて100億円規模。2社が強みを持つ培地は年率約10%の成長が見込める有望市場という。
富士フイルムHDは今後の成長の柱として再生医療やバイオ医薬品関連事業を重視し、積極投資を展開している。記者会見した古森重隆会長は、「(医薬品や化粧品を扱う)ヘルスケア事業の比率を現在の2割から3〜4割程度にもっていきたい」と強調した。
一方、主力の複合機は、ペーパーレス化の進展で先進国を中心に成長が見込みにくくなっている。事業の効率化のため、1月には米ゼロックスの買収を決め、傘下の富士ゼロックスと統合させる抜本的な改革を打ち出した。
ゼロックス株主の一部が買収に反対しているが、古森氏は「株主にもメリットがあり、株主総会はクリアできると考えている」と述べた。
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