千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)とパナソニックは3月1日、産学連携の一環として開発したロボット掃除機のプロトタイプを公開した。高精度のマッピング技術を搭載した他、毛足の長いラグや段差を乗り越える新機構を備えた次世代型のロボット掃除機だ。
パナソニックとfuRoは17年12月に「パナソニック・千葉工業大学産学連携センター」を設立。fuRoの最先端ロボット技術とパナソニックの製品開発力を合わせ、製品化に向けた技術開発に取り組んでいる。
今回のプロトタイプはコンセプトの策定から機体の作成までfuRoが担当したもので、特徴は大きく分けて2つ。まず、fuRoが開発した高速空間認識技術「ScanSLAM」を搭載したことだ。SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)はカメラやレーザーを使って室内のマッピング(地図作成)と自機位置推定を行う技術で、14年から15年にかけてアイロボットやネイトロボティクス、ダイソンといったメーカーが相次いで採用。パナソニックも17年夏に発売した「ルーロ」(MC-RS800)に初めて搭載している。
fuRoのSLAMは「高速かつ高精度」が特徴。例えば、人がロボット掃除機を持ち上げて場所を移しても即座に自己位置を把握し直すため、ロボット掃除機が充電台に戻れなくなる、いわゆる「キッドナップ(誘拐)問題」が生じない。またマッピングによってまだ掃除していない場所を把握できるため、「部屋の隅までくまなく掃除できる」としている。
もう1つの特徴が、本体に仕込まれたダンパーのような機構だ。プロトタイプでは黒いパーツで隠されていたが、段差や毛足の長いラグマットの前に来ると下に脚を伸ばし、本体前部を持ち上げて乗り上げる。人の手を借りずにロボット掃除機だけで掃除できる範囲が広がるという。
プロトタイプに採用された技術は「19年以降の製品に採用することを検討中」(パナソニック)。災害の現場などで培われたfuRoのロボット技術が、家庭でも活躍することになる。
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