特集:新しいビジネスの種はどこにある?
既存の事業が成熟期を迎えた企業がさらにビジネスを拡大するためには、ざっくり言って、海外など新しいマーケットを開拓するか、これまでとはまるで異なる新規事業を立ち上げるかの2つだ。実際、「新規事業開発室」といった名称の部署がある会社は少なくないが、必ずしも成果が出ているとは言い難い。それはなぜだろうか。本特集では新規事業が成功するための秘けつを探る。
メルカリとグループ会社のソウゾウ(東京都・港区)は新規事業を次々と立ち上げている。直近では、共同運用型のシェアサイクルサービス 「メルチャリ」を2月から福岡市内でスタートさせた。過去には、「メルカリ メゾンズ」や「メルカリ カウル」といったフリマアプリをスタートさせている。
スピード感をもって新規事業を立ち上げる原動力はどこにあるのか。2016年8月に検討を開始し、2カ月後には正式にプロジェクトがスタート、17年5月にサービスを開始したメルカリカウルのケースで見てみよう。
メルカリカウルは本、CD、DVD、ブルーレイ・ディスクといったエンタメ・ホビーの取引に特化したフリマアプリだ。出品したい商品のバーコードを読み取るだけで商品情報(タイトル、著者名、発売日、定価など)が自動で入力される。商品はメルカリにも同時に出品される。商品が売れると出品者は販売価格の10%を手数料として運営者に支払う。
メルカリカウルが新規事業として立ち上がったのは、フリマアプリ全体の利用者を増やすためだ。エンタメ・ホビー領域の商品は、メルカリで取引されている服やバッグなどと比べ価格も安く、取引される量も多い。本やDVDを気軽に出品・購入してもらうことで、将来的に別の商品も売買してもらおうという狙いがある。メルカリカウルは扱う商品を絞っているので、メルカリと比べてより少ない手間で売買できるようになっているのが大きなポイントだ。
メルカリカウルの事業全体を統括したのは、メルカリとソウゾウで執行役員を兼任する藤崎研一朗氏。UX設計・デザインを担当したのがソウゾウの大杉健太氏だ。
彼らが新規事業を企画してから立ち上げるまでの経緯をもとに、新規事業をスピーディに立ち上がることができる4つの理由を考察する。
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