SBIホールディングスと同社子会社のSBI Ripple Asiaが事務局を務め、邦銀61行が加盟する「内外為替一元化コンソーシアム」は3月7日、分散台帳技術を活用した次世代金融プラットフォームを利用する送金アプリ「Money Tap」を発表した。
内外為替一元化コンソーシアム会長兼りそな銀行常務執行役員の鳥居高行氏(写真中央)
同コンソーシアムは、2016年10月に発足し、現在メガバンク3行を含めた邦銀61行が参加している。分散台帳技術を活用し、外国為替と内国為替を一元的に扱う次世代金融基盤を構築しており、2017年12月には、米Rippleの「xCurrent」を実装した商用版「RCクラウド2.0」を開発。Money TapはRCクラウド2.0と接続して送金を実現しており、参加金融機関の開発負荷を軽減するために、オープンAPIを活用した「共通ゲートウェイ」を利用する。
Money Tapは、ユーザー間の個人間送金を24時間365日リアルタイムで実施でき、銀行口座番号のほか、電話番号、QRコードの読み取りで送金できる。ローンチは夏以降を予定しており、住信SBIネット銀行、スルガ銀行、りそな銀行の3行が先行して提供する。送金手数料は、現状よりも低価格になるとしているが、実際の利用料については各行が決定する。
送金方法は、アプリから送金先を指定(口座番号、電話番号、QRコード読み取り)し、送金額を入力。指紋認証などの生体認証を経て送金が完了する。なお、利用開始時には、通常の銀行サービスと同等の本人確認のステップを踏むなど、不正利用に配慮している。また、アプリを使った送金は、1日あたり、1回あたりの限度額を設ける予定。安全性が認められ次第、引き上げるという。
送金はシンプル。UIもわかりやすい
今回のシステムは、クローズドの分散台帳技術(ブロックチェーンは分散台帳技術の一部)を採用しており、xCurrentをクラウド上に実装するのは日本発・世界初の試みだという。クラウド技術はIIJが協力している。ビットコインで使用しているオープンの分散台帳技術を使用しないため、取引承認の厳密度も簡便な形がとれ、ビットコインでは膨大な計算量を使用するコンセンサス・アルゴリズムも、一部のノードによる検証で済む。このため、取引処理を数秒に短縮できるという。
ビットコインのようなオープン型と今回のクローズド型の違い。なお、取引所などで問題が多く発生している仮想通貨だが、ことビットコインのブロックチェーンに関しては、開発後の9年間一度も破られていない
コンソーシアム会長兼りそな銀行常務執行役員の鳥居高行氏は、「内外為替一元化コンソーシアムは、ブロックチェーン技術を使い、24時間365日低コストで、内国為替と外国為替の一元化を目指して発足した」とし、「ブロックチェーンや分散台帳技術を活用した送金プラットフォームは国内外で多くあるが、(Money Tapは)商用化の目前に来ている。業界内でも注目度は高まっている」と述べた。xCurrentの導入を決めている銀行は海外でも100行を超えており、外為送金についても同コンソーシアムの基盤の採用を狙うという。
SBI Ripple Asia代表取締役の沖田貴史氏は、「さまざまな送金アプリが出てきているが、本コンソーシアムは銀行だからできることを追求した。Fintech企業のサービスは、資金決済法に準拠しているため、プリペイドのバリューに置き換えて送金するやり方が主流であり、出金できなかったり出金時に手数料がかかる。Money Tapは、銀行主導の決済ソリューションのため、トータルのUXに関しては使いやすいものを提供できる」とした。
また、「2000年代前半は、日本がおサイフケータイでリードしてきた。ここ数年はスマホ対応の遅れで、キャッシュレスに向けた取り組みは、欧米・アジアに対して周回遅れに近い形になっている。ただし、ブロックチェーンや分散台帳技術は世界のトップランナーとして日本が走っているといっても過言ではない。各国が実現していない分散台帳技術を使ったサービスは、遅れを取り戻すだけでなく、テクノロジでリードするチャンスになるのでは」とした。
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