回転すしチェーン「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトは2月28日、大野健一社長が同日付で退任すると発表した。就任後11カ月という異例の速さでの退任で、その理由を問う声も多かったが、同社は「本人から申し出があった」「本人の都合」(広報担当者)と明言を避けていた。
その真相は──匿名を条件に、関係者がITmedia ビジネスオンラインの取材に応じ、突然の辞任劇の裏側を明かした。
辞任理由は「コンプラ違反」
関係者によると、大野氏が辞任した理由は「カッパ・クリエイト入社以前に在籍していた水産会社でコンプライアンス違反があったため。会社側の指示で退任してもらったのが真実で、本人の都合や申し出によるものではない」という。
「違反の詳細についてはコメントできないが、大野氏は既に取締役も辞しており、カッパ・クリエイトを退職済み」(関係者)という。
後任には、ステーキチェーン「ステーキ宮」などを運営する、コロワイドグループのアトムで社長を務める小澤俊治氏が内定しているという。小澤氏は、飲食事業の再建手腕に定評がある。
「3月中に開催される取締役会で話し合い、3月20日頃にプレスリリースを出す予定だ。その後準備を進め、6月の定時株主総会後の取締役会で正式決定し、小澤氏が率いる新体制を発足する」(関係者)
社長交代は「既定路線」
退任した大野氏は、2017年3月期に59億円の赤字を計上するなど不振に陥っていたカッパ・クリエイトを立て直すため、「食べ放題」「1皿50円」などの施策を次々と展開してきた。
だが、予想していたほどの成果は得られず。黒字転換こそ見込んでいるものの、1月には今期最終を大きく下方修正している。
関係者は「こうした結果を踏まえ、大野氏のコンプライアンス違反が発覚しなくても、遠からず同氏が退任し、小澤氏が後を継ぐ人事は既定路線だった」と明かす。「再建のスピードを上げ、業績をV字回復させる狙いがあった」という。
売り上げ面で、スシロー、くら寿司、はま寿司といった競合の後塵(こうじん)を拝しているかっぱ寿司だが、今回の社長交代はさらなる巻き返しにつながるのだろうか。
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