スペイン・バルセロナで開催中のWorld Mobile Congress 2018の会場にて、NTTドコモ 執行役員 プロダクト部長の森健一氏にインタビューする機会を得た。2018年のドコモの端末戦略について語ってもらった。
ハイエンドとミッドレンジが二極化している
―― 2018年に入って既に2カ月が過ぎましたが、今年はどのような端末戦略を考えていらっしゃいますか?
森氏 まだ2017年度が終わっていませんが、昨年度(2016年度)はハイエンドとミッドレンジが二極化した年でした。2018年度はさらにその傾向が強まるかもしれません。われわれも、それに合わせた充実した機種のラインアップを用意したいと思っています。
―― ミッドレンジでは、昨年(2017年)は「domoco with」が人気を集めましたが、今年も対象機種を増やす計画がありますか?
森氏 毎月1500円安く使える「domoco with」は、フィーチャーフォンからマイグレーション(移行)されるユーザーにとって大きな魅力となっているようです。また、他キャリアからのポートインにもつながっています。そういう意味で、数という意味では、今年も充実すると思います。
―― フィーチャーフォンの人気も根強いようですが、スマホに移る人はまだ増えますか?
森氏 本当に「スマホはいらない」というお客さまもいらっしゃいますが、「スマホが何となく怖い」という人もいます。そういう方には、今年もスマホ教室などを開催しますので、そういう機会を通して、スマホが意外と使いやすいことを実感していただけると思います。
―― 高齢の世代は、スマホのタッチ操作が難しいという人が多いようですね
森氏 音声認識も進化していますし、スマホの入力方式も変わってきています。これからもっと便利に使えるようになると思います。
世の中にないスマートフォンを提供する
―― ドコモがZTEとコラボレーションして「M」や「MONO」といったオリジナリティーの高い端末をリリースしています。今後も、ドコモの独自性をアピールするスマホを開発・販売していく計画がありますか?
森氏 これからも出ます。ドコモ独自のものというより、世の中にないものを提供していきたいです。それは価格面もありますし、Mの場合は形状面でトライしましたが、ニーズがあるだろうなぁというところに向けて、いろいろなメーカーとコラボレーションしていきたいです。
―― 2画面スマホは、かつて2013年に「MEDIAS W」という機種を出していますが、今回の「M」は反響が違ったりしましたか?
森氏 「M」は特にWebメディアからの反響がよく、多くのメディアで取り上げていただき、話題性はあったと思います。発売したばかりなので、台数的にはこれからという感じです。
―― 2モデル目となった「MONO」はいかがですか?
森氏 今回はdocomo with対象機種として出しましたが、他の機種に比べると、価格面でのメリットが薄まったのか、前モデルに比べると出足は少し鈍かったです。ですが、少したって、やはり売れ始めました。
ドコモからHuaweiスマホが出る可能性は?
―― 1月にKDDIがHuawei製のスマホ「HUAWEI nova 2」を発売しました。ドコモからは久しくHuawei製のスマホが発売されていませんが、今度取り扱う可能性がありますか?
森氏 可能性はありますね。Huaweiさんとはお付き合いが長く、つながりが深いですし、スマホ以外の製品は今も出しています。
―― 世界市場で販売台数を伸ばしている中国メーカー、OPPOも日本に参入しました。OPPOは日本のキャリアからの販売を目指していることを表明しています。こうした新しいメーカーのスマホを取り扱う可能性はありますか?
森氏 基本的には、どこのメーカーがいい悪いとかではなく、製品ベースで考えていきたいと思っています。いいものを出していただけるメーカーで、それがユーザーのニーズにフィットするものであれば検討したいです。
―― スマホのメーカーがなかなか増えないのは、ドコモからメーカーに求める条件が厳しいからでしょうか?
森氏 外部の方から「ちょっとハードルが高すぎるのでは?」と言われることもありますが、ドコモとしては品質面、特に安全性能については、一定以上の基準を持っています。電池1つにしても品質基準があり、たとえグローバルベンダーであったとしても、ドコモの安全性能について、高いレベルでお願いしています。「ハードル」と言うと言葉が悪いかもしれませんが、その基準はクリアしていただく必要があります。それが、お客さまに安心と便利をお届けるキャリアとしての責務です。
―― では、付加機能といえる、おサイフケータイや防水、ワンセグなどは、端末のコンセプトによってはいらない?
森氏 まぁ、そうですね。ただし日本の場合、フィーチャーフォンで防水が当たり前になっていて、それに慣れているので、防水に対応していないと不安になるユーザーが多いのは事実です。
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