ファルコン・ヘビーの打ち上げでインターネット上の話題をかっさらったイーロン・マスク氏ですが、ハイパーループをアメリカに作ろうとしていることも忘れてはいけません。昨年7月に「ニューヨークとワシントンDC間を29分でつなぐハイパーループの承認を政府からもらったよ」というツイートがあった際は、とても話題になりました。しかし、それきり大きなニュースは出てきていませんでした。
そんな中、「ワシントンD.C.の地下にハイパーループを建設するための事前作業を行う許可を受け取ったようだ」とワシントン・ポストが報じています。例によって詳細は明らかにされておらず、この許可も具体的にどのような作業に対してなのかは公にはなっていません。
マスク氏のトンネル掘削会社であるボーリング・カンパニー(掘削作業のボーリングと、「退屈な」という意味のboringをかけています)の広報担当者によると、「会社が確保したワシントンDCのニューヨーク・アベニューの土地は、将来的には都市間交通ネットワークの「駅」として機能する可能性もある」とのことです(ハイパーループ用のものか明言はなし)。政府機関の多いワシントンDCですが、許可をもらった土地は「アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局の近くの放置された駐車場」だったそう。
ワシントン・ポストのレポートによると、市もハイパーループ建設という長期プロジェクトに本格的な承認を与えたわけではなさそうです。何しろ前例のない交通機関プロジェクトですから、政府もどのような種類の許可が今後必要になって来るのかを探っている最中です。しかしホワイトハウスの上級顧問であるJared Kushnerやメリーランド州の知事であるLarry Hoganからのサポートは得ているとのこと。
トンネルでつながった駅と駅の間を車や乗客のあったポッドと呼ばれる乗り物で高速移動するというハイパーループ。既存の交通機関に関する規制に一つ一つ対応するのではなく、政府や担当機関のトップレベルの職員たちのサポートを得る、という戦略で積極的にプロモーションをかけているようです。ロサンゼルスの実験用ロケーションでは既に巨大なドリルを使ってボーリング作業が行われました。しかし公共交通機関として完成するにはまだまだ長い年月と大量の資金が必要になります。
壮大な野望を巨大な情熱と資金を持って実現していくイーロン・マスク氏ですが、彼の他のプロジェクトと同様、ハイパーループも様々な反対や批判を集めています。ワシントン・ポストも紹介しているように、「既に存在する公共交通機関を改善する方が優先だ」という声は多いようです。
実現すれば既存の交通機関よりも省コストで高速になる、と謳っているハイパーループですが、本当に意味のあるレベルまで安くできるのか、そして効率的なペースでそれを建設できるのか、まだ具体的なプランを提出するには至っていません。スペースXが軍事ロケット市場という参入障壁が高くかつ寡占なマーケットに参入したことで巨大な資金を得たように、何らかのビジネス戦略で解決してしまう可能性はあります。
じわじわと前進しているように見えるボーリング・カンパニー。次のニュースは一体どんな内容になるのでしょうか。
Image: Getty
Source: Washington Post
Tom McKay - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)
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