キングコングの西野亮廣さんはいつも炎上している。「西野 炎上」でGoogle検索をするとヒット数は290万超。文春の2017年「嫌いな芸人ランキング」でも有吉弘行さんと並んで11位に入った。何か行動を起こすたびに、賛否両論が巻き起こる。
しかし、炎上をものともせずというべきか、炎上効果もあってというべきか、ビジネスの勢いは止まらない。絵本「えんとつ町のプペル」は「全文無料公開」の後も売り上げを伸ばし30万部を突破、17年に発売したビジネス書「革命のファンファーレ 〜現代のお金と広告〜」は15万部を超えた。「はれのひ」問題で着物が着られなかった新成人に成人式をプレゼントする試みも注目を浴びた。
西野さんはどうやってモノを売っていったのか。お金を得るために必要なものはなんなのか。パーソルキャリア運営のキャリア教育プログラム「CAMP」が開催した就活生向けイベントで語った。
「お金」と「広告」の挑戦
「人の挑戦を止めるものは2つ。1つはお金で、もう1つは広告です。お金を捻出できなくなった瞬間と、ファンの獲得やブランディングの構築ができなくなった瞬間に、人は挑戦を諦めてしまう。学校では教えてくれませんから、学生は『お金』と『広告』を知らずにここまで来ています」
バラエティ番組「はねるのトびら」でブレークした西野さん。しかし「スターになれない」「先輩を追い抜けない」という“つまづき”を感じていたのだという。そこで西野さんは「テレビに出ない」ことを選び、絵本を書き始めた。
「テレビでは人気者になったし、ちやほやもされました。でも結局ビートたけしさんやダウンタウンさんなどの背中しか見えなかった。先輩方が敷いたレールを走っているだけでは追い付かない。ごぼう抜きするためには違うレールを走ろうと、絵本を作り始めました」
09年に「Dr.インクの星空キネマ」で絵本作家としてデビュー、10年には2冊目の絵本「Zip&Candy ―ロボットたちのクリスマス―」を発売。1万部売れれば大ヒットと言われる絵本業界でおよそ3万部を売り上げたが、数十万部のメガヒットを目指していた西野さんの目には物足りなく映ったという。
「良いものを作っても売れなかったし、世間からは『キンコン西野、最近見ないよね。オワコンじゃない?』と言われていました。作品はお客さんの手に届かないとカウントされない。僕はそれまで、『お金の話はヨゴレじゃないか』と思い、売ることを出版社や所属事務所に任せていました。でも作品を子どもとするなら、届けることは育児放棄ですよね。責任を持って作品を育てると決めました」
どうやったらモノを売ることができるのか。西野さんは自身の体験を振り返り「作品は買わないが、思い出にはお金を払う」という法則に気付く。演劇パンフレットや旅行先の工芸品は、モノとしてではなく、体験のお土産として購入している――つまり、モノではなくコトを求めているというわけだ。
では、絵本をお土産にするとはどういうことだろう。4作目の絵本「えんとつ町のプペル」で“実験”をした。
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