FREETELが運営元をMAYA SYSTEMに変え、新端末の「REI 2 Dual」も発売された。低価格ながら着せ替えが可能で、バッテリー交換にも対応する「Priori 5」も23日に店頭に並んだ。
10年以内の世界1位を目標に掲げながら、事実上の経営破綻で終わってしまったプラスワン・マーケティング(以下、POM)だが、MVNO事業は楽天に、端末事業はMAYA SYSTEMに承継されたことで、ユーザー側の被害は最小限に抑えられた格好だ。既にFREETEL SIMは楽天モバイルにブランド統合されており、MAYA SYSTEMもサポートを再開済み。MAYA SYSTEMは自社グループを活用して、3月にはサポート体制をさらに充実させることも表明している。
楽天とMAYA SYSTEM、それぞれに救済される格好で一件落着を迎えたかのように見えるPOMの経営破綻だが、実はまだ解決していない問題も残されている。POM時代のFREETELが鳴り物入りで導入していた、「とりかえ〜る」の対象者が中ぶらりんの状態になったままなのだ。楽天とMAYA SYSTEMの双方が、POMからとりかえ〜るを受け継いでおらず、事態が複雑になっている。
1年に1回端末を交換できた、ガジェット愛好者向けのサービス
とりかえ〜るは、POM時代のFREETELが導入した、端末買い替えプログラムの一種だ。もともとのサービスは「かえホーダイ」と呼ばれるもので、2016年10月に発表された。かえホーダイは割賦で購入した端末を返却することを条件に、残債を無料にするというもの。6カ月経過後から利用できたため、「半年で新機種に機種変可能」とうたわれていた。
当時、POMの代表取締役を務めていた増田薫氏は、「2年契約が当たり前になっているのは、不思議でしょうがない。iPhoneも(SEなどを含めれば)半年に1回出てくる」と語っていた。スマートフォンを好きなユーザーが常に最新機種を使っていられるよう、考えられたプランだったようだ。
そのかえホーダイは、2カ月を待たずに刷新されることになる。スマートフォンの本体代金と通信料、無料通話がセットになった「スマートコミコミ」に統合されたのだ。ここに、かえホーダイから仕組みが変わり、画面割れなどの場合でも交換ができる、とりかえ〜るが含まれていた。さらに、POMは、2017年から対象端末にHuaweiやASUSを加え、ラインアップを拡充することも発表している。
一方でスマートコミコミは、端末代が単体で購入するよりも割高に設定されており、それに対して3年の割賦を組むスキームが採用されていた。例えば、同じタイミングで発表されたハイエンドモデルの「KIWAMI 2」は、単体だと4万9800円(価格は当時)だったが、スマートコミコミを使うと、総額で9万円になる。これを36分割して、通常の通信料金に割引を付けるというのが、スマートコミコミの仕組みだった。
さらにこのスマートコミコミは、2017年3月にはスマートコミコミプラスへと改称され、とりかえ〜るの交換可能期間が6カ月から1年へと変更になった。いわば、新とりかえ〜るといった仕組みで、この直後にHuaweiやASUS、富士通、VAIOの端末が追加された。新とりかえ〜る対象の端末はその後も拡充。Huaweiの「P10」や「P10 lite」の取り扱いも始めている。
まさに朝令暮改で次々と仕組みが変わっていったとりかえ〜るだが、通常よりも高額な端末を割賦で買い、その下取りを条件に残債を免除するという骨子はそのまま受け継がれている。端末代が高すぎるため、事実上の強力な縛りになっているという批判もあったが、FREETELを使い続ける限り、お得に機種変更できるというメリットも確かに存在していた。ただし、それはとりかえ〜る対象の新機種が発売し続ければの話だ。
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