Googleが、Androidプラットフォームで「RCS(Rich Communication Services)」というメッセージングサービスをサポートするための取り組みを強化している。2月26日(ヨーロッパ東部時間)からスペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress 2018」では、同社のパートナー企業がRCSを使ったデモンストレーションを行うという。
「RCS」とは一体どのようなメッセージングサービスなのだろうか。そして、日本の携帯電話用メッセージングサービスにどのような影響を与えるのだろうか。
RCSは「SMSを代替するリッチなサービス」
RCSは、移動体通信に関する業界団体「GSM Association(GSMA)」が策定した「SMS(Short Message Service)」の代替を目的としたメッセージングサービスの規格だ。
規格化に向けた動きは2007年から行われており、2016年11月に相互運用性について定めた「Universal Profile」の初版が策定された。GSMAのWebサイトによると、Universal Profileに賛同する企業は通信事業者(キャリア)が55社、端末メーカーが11社、OSメーカーが2社(いずれも記事執筆時現在)。その中にはNTTドコモやKDDIも含まれている。
その名の通り、RCSは“リッチ”なコミュニケーションサービスを志向しており、主に以下のような機能を備えている。
- メッセージング
- チャット(1対1、グループ)
- 音声メッセージング
- IP音声通話
- ビデオ通話
- ファイルの送受信
- コンテンツの共有
- 位置情報の共有
Googleでは、企業がRCSメッセージを顧客に配信する手助けをする「Early Access Program」を2017年2月から米国とメキシコで提供している。このサービスを使えば画像付きのクーポン券の配信、詳細情報付きのアラートメッセージなど、RCSの特性を生かしたメッセージを簡単に配信できるという。
「『MMS(マルチメディアメッセージングサービス)』や他のメッセージングアプリを使えば同じことができるのでは?」と思うかもしれないが、Universal Profileに準拠したRCSはSMSと同様に電話番号さえあれば送受信ができることとキャリア間で互換性がある(≒仕様上の差異がない)ことが大きなメリットなのだ。
日本での導入は?
GSMAが公表しているRCSの導入状況によると、現在27カ国の50キャリアがRCSに対応しているという。この中に日本は含まれていないが、「導入に高い興味を示している国」として挙げられている。
先述の通り、ドコモとKDDIはRCSのUniversal Profileに賛同している。両社のいずれか、あるいは両社ともに何らかの形でRCSに対応する可能性がある。両社が対応するとなれば、同プロファイルに賛同企業に含まれてないソフトバンクも何らかの対応を迫られる可能性もある。
端末側の対応状況も気になるところだ。Android端末では、Google純正の「Android メッセージ」をデフォルトのSMSアプリに設定するとRCSを送受信できる。Windows 10 Mobileスマホについては、OSレベルで対応している。iPhone(iOS)は対応していないが、「iMessage」で同等機能を使える(互換性なし)。
日本でRCSは導入されるのか。MWC 2018において何らかの発表があることを期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ITmedia 総合記事一覧で全文を見る
0 件のコメント:
コメントを投稿