ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作『ブレードランナー2049』は、製作にあたり、リドリー・スコット監督のオリジナルのキャストに再出演の打診をしました。その結果、デッカード役のハリソン・フォードと若かりし頃のレイチェルがCGでカムバック。
しかし、『ブレードランナー』を名作にした立役者と言われるルトガー・ハウアー演じるロイ・バッティは戻ってくることはありませんでした。それは彼がThe Hollywood Reporterに語った『ブレードランナー2049』に抱いている気持ちを知れば納得のことなんです。
「素晴らしいと思うけど、この映画が必要だったかどうかは分からない。本当に美しいものに対しては、そっとしておくべきだと思うんだ。掘り返すことなんてせず、別のものを作れば良い。30年以上前の栄光にすがる必要はないよ。
今のハリウッドのネタ不足を分かっていながら、「過去にすがるな」とは手厳しいお言葉…! 『2049』だけでなく、今の映画業界全体への批判に聞こえます。
また、映画の具体的な内容に関しても納得いかない部分があったようです。
『ブレードランナー』は単なるレプリカントに関する話ではなく、人間の定義とは、を問いかけた作品なんだ。『E.T.』みたいにね。でも、新作の方は何を問いかけたいのかが不明瞭だった。キャラクターによって引っ張られているわけでもなく、そこにユーモアがあったわけでもない。愛もなく、魂もなかった。オリジナルへのリスペクトはあったね。でも、自分にとっては、それすら十分だったと思わないよ。
世界中で大絶賛された『ブレードランナー2049』ですが、オリジナルの関係者からはこんな風に思われていたのですね。
ちなみに、『2049』に不満を持っている関係者はハウアーだけではありません。あの生みの親であるリドリー・スコット監督もこんな感想を述べています。
「長すぎ」
最後に、ハウアーはこんな言葉でインタビューを締めくくったようです。
「うまくいきっこないって分かってたよ。でも、俺がどう思うかなんて重要なことじゃないと思うけどね。」
Julie Muncy - io9[原文]
(中川真知子)
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