日本でもすっかり定着したロボット掃除機。しかし世界では、掃除機の自動運転よりも先に芝刈機の自動運転が始まっていたのをご存じだろうか。実は欧州では、ロボット掃除機が普及する前からロボット芝刈機が市場に登場していた。
欧州のロボット芝刈機市場に、後発ながら参入した日本企業がある。本田技研工業(ホンダ)だ。同社は四輪車と二輪車だけでなく、汎用エンジンを核としたパワープロダクツ事業を展開しており、以前から芝刈機を製造していた。ロボット芝刈機市場の将来性の高さから市場に参入。2012年に欧州でロボット芝刈機「Miimo(ミーモ)」を発売し、16年までに欧州で累計3万7000台を販売。17年6月に、日本でも発売した。
欧州でロボット芝刈機が普及した背景
芝刈機は対応エリアの狭い順に歩行式電動芝刈機、歩行式/自走式エンジン芝刈機、乗用式エンジン芝刈機の3タイプがあり、ロボット芝刈機は乗用式エンジン芝刈機と歩行式/自走式エンジン芝刈機の中間に位置する。営業を担当するホンダの直井千昌さん(パワープロダクツ事業本部営業部 部長)によると、ロボット芝刈機のターゲットは、乗用式エンジン芝刈機を使うほどではないものの比較的広い庭を持っている人たち。Miimoの開発当時、欧州現地法人にいたという直井さんは、欧州で芝刈機が乗用式からロボットに変わってきた経緯を次のように話す。
「欧州では、短い夏の間に芝と庭の手入れを行い、外からきれいに見えるようにしたいという要望があります。夏になると週に2、3回も芝を刈りますが、庭は芝だけでなく木々や花々もあり、全体を手入れするには相当な時間が必要です。自動で芝刈りができればその間の時間を他のことに使えることから、ロボット芝刈機に対するニーズが高くなってきました」
ホンダにとってロボット芝刈機は未知の領域で、開発はゼロからのスタート。
Miimoの開発に携わった本田技術研究所の羽深信之さん(PU・LGA・MRN開発室 研究ブロック 主任研究員)は、「まずは競合他社にならったモノを出してユーザーニーズをつかまえてから、ホンダらしいロボット芝刈機を欧州で出そうと考えました」と振り返る。
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