DDoS攻撃対策最大手のArborが年次調査レポートを公表
「分散型サービス妨害(DDoS)攻撃の脅威はますます増大している。さらなる警戒が必要だ」――。セキュリティベンダーであるアーバーネットワークスの河田英典カントリーマネージャーは先頃、DDoS攻撃を中心としたサイバー攻撃の動向について、親会社である米Arbor Networks(以下、Arbor)がまとめた年次調査レポートを説明した会見でこう強調した。
DDoS攻撃とは、多数のコンピュータから大量の通信負荷を標的となったサーバにかけて、通信障害などを引き起こす攻撃のことである。Arborは世界のDDoS攻撃対策機器市場で6割を超えるシェアを獲得している。その日本法人であるアーバーネットワークスも日本の同市場で世界と同等のシェアを確保しており、いわばDDoS攻撃対策の最も有力なエキスパートである。
その最大のアドバンテージとなるのが、「ATLAS(Active Threat Level Analysis System)」と呼ぶ「世界最大級のネットワーク監視と脅威レベルを解析するシステム」(アーバーネットワークスの佐々木崇SEマネージャー)である。ATLASでは、およそ400社のサービスプロバイダーから毎日140Tbpsもの匿名のトラフィックデータを収集。これは世界のインターネットトラフィックの3分の1に相当するという。ここから発信する脅威解析情報が、同社の最大の強みとなっているのである。
今回、同社が説明した調査レポートは、そんなATLASを利用するサービスプロバイダー(構成比55%)とユーザー企業(同45%)からキーパーソン390人の回答を集計し、2017年のDDoS攻撃の動きを対象とした内容である。ここでは、その中から5つの調査結果を、グラフを示しながら紹介しておきたい。
まず、図1は企業におけるビジネスインパクトを聞いたものである。右側のグラフがその内容で、「評判/ブランドイメージへのダメージ」が57%で最も多く、「2016年の48%からも大きく増加している」(佐々木氏)という。これに加え、「売上損失」や「顧客喪失」の割合が高いことからも、DDoS攻撃はまさにビジネスに直結するインパクトがあるといえる。
一方、左側のグラフは、DDoS攻撃を受けると、どれくらいのコストがかかると見ているか、との質問に対し、赤い枠内の12%の回答者が1000万円以上(1ドル100円換算)と見ていることを表したものだ。これは「2017年と比べて約5倍になった」(佐々木氏)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ITmedia 総合記事一覧で全文を見る
0 件のコメント:
コメントを投稿