米Google傘下のYouTubeのスーザン・ウォジスキCEOは3月13日(現地時間)、米テキサス州オースティンで開催の「SXSW 2018」に登壇し、YouTubeの動画の一部に“他の視点を提供するため”にWikipediaの解説の一部とリンクを追加する計画について語った。
YouTubeでは、人気YouTuberによる不適切な動画の拡散や虚偽動画がトレンドになったことが問題になっている。ウォジスキ氏は、その対策の1つとしてWikipediaへのリンクを紹介した。
「陰謀論に関連するような動画には、関連情報としてWikipediaの情報ユニットを表示する」と語った。同氏はこれを「information cues」という機能として紹介した。陰謀論動画の例として、アポロ11号の月面着陸はなかったかもしれないという動画やケム・トレイルについての動画を挙げた。「視聴者は(陰謀論の)動画を視聴できるが、同時に追加情報にもアクセスできる」(ウォジスキ氏)
Wikipediaを運営するWikimedia Foundationは翌日公式Twitterアカウントで、この件に関する声明文を発表し、「YouTubeはこの件についてわれわれに事前に何も報告しなかった」と苦言を呈した。
Wikipediaのコンテンツはライセンス条件を守れば自由に引用したりリンクしたりすることができる。Wikimediaも声明文で「人々、企業、組織がWikipediaの価値をフリーな知識の宝庫と認識してくれていることをいつも嬉しく思っている」と言っており、直接的にYouTubeを責めているわけではないが、Wikimediaは多数のボランティアの献身的な努力で成り立っていると説明し、別のツイートではコミュニティーメンバーによる「Wikipediaを無限再生可能資源のように扱うのは礼儀を欠く行為だ」というツイートを引用した。
YouTubeはinformation cuesを向う数カ月中に開始するとしているが、これからでもWikimediaにこの取組について説明し、協力を仰いだ方がよさそうだ。
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