犬好きの方は読むのも辛い話です。
ユナイテッド航空の悪い評判は留まるところを知りません。つい先日起きた事件はアメリカのペットを飼う人たちの背筋を凍らせるようなものでした。
飛行機にペットを持ち込む際には専用のケースに入れて、自分の目の前の座席の下に収納する、といった公式のルールが航空会社にはあります。アメリカ合衆国運輸保安庁(TSA)が承認する公式のキャリー・ケースも普及しており、事前に承認を得ていれば何もルールに反するものではありません。
そんなTSA承認のケースに生後10カ月のフレンチブルドッグを入れてユナイテッド航空の飛行機に乗っていた乗客に、あるスチュワーデスが「ペットは頭上の荷物入れに入れないとダメだ」と指示したそうです。理由も説明せず、「荷物入れに入れて、大丈夫だから」とだけ主張するスチュワーデスに従い、乗客は子犬をケースごと頭上の荷物入れに入れたとのこと。そしてヒューストンを発ち、目的地であるニューヨークのラガーディア空港に到着してケースの中の子犬を確認すると、動かなくなってしまっていたそうです。すぐに飼い主がマウスツーマウスで人工呼吸を試みたものの、そのまま子犬は亡くなってしまったとのこと。
飛行機に乗っていた複数の乗客がスチュワーデスのやり取りも含めて一部始終を目撃しており、FacebookやTwitterでその悲しみとユナイテッド航空に対する怒りを表明。すぐにユナイテッドも非を認めて謝罪をしています。
なぜスチュワーデスが頭上の荷物入れにペットを入れるように指示したのかは明らかではありません。ケースはTSA承認のペット持込み用のキャリーケースで、ユナイテッド航空のポリシーでも座席の下にペットは収納するように明記されているからです。
乗客の一人、Maggie Gremmingerさんはフライト中に犬の鳴き声を聞いたとのこと。GremmingerさんはTwitter上で子犬の死に対する憤りを語っています。もう一人の目撃者であるJune Laraさんは事の顛末をFacebookで詳しく説明しています(注:亡くなった子犬の画像があります)。飼い主が子犬をなんとか蘇生させようとしている間、Laraさんは飼い主の赤ちゃんを抱えてあげていたそうです。
ユナイテッド航空の公式声明は次のように述べています。
頭上の荷物入れはペットが入れられる場所では決してありません。今回の事故は起こるべきではない悲劇であり、その全責任は我々にあります。ご家族と、家族を支えている方々へ心からお悔やみ申し上げます。このような事が二度と怒らないよう、なぜ今回の事故が起きたのか究明に取り組んでおります。
CNBCの報道によると、ユナイテッド航空は家族に飛行機のチケット代を返金しており、また犬の死因を確かめるための検死の料金も負担すると申し出ているとのこと。頭上の荷物入れは空気が流れる仕組みがなく、またフレンチブルドッグという犬種は呼吸に問題を抱えることが多いことから、窒息が死因ではないかと考えられているようです。
ユナイテッド航空で移動中に犬が亡くなったのはこれが初めてではありません。CNBCの報道によると、昨年アメリカの航空会社でもっとも動物の死亡事故が多かったのがユナイテッド航空となっています。交通局の統計によると、ユナイテッドの機内で、カーゴに入れられた動物18匹が亡くなったとのこと。この18匹は他の航空会社と比べても非常に大きい数字となっています。デルタ航空とアメリカン航空の機内では、昨年それぞれ2匹の動物が亡くなっているようです。去年の8月にヒューストンからサンフランシスコへのフライトの途中で、カーゴに収納されていた5才のキング・チャールズ・スパニエルのLuluがなくなったのも話題になりました。今回の事件で、ユナイテッド航空が不人気の航空会社である理由にまた1つ足された形になります。
Image: Shutterstock
Source: The Points Guy, Twitter, Facebook, CNBC, Phys.org, The Washington Post
Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)
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