2018年3月24日土曜日

[ITmedia ビジネスオンライン] 日本政府1000億円を宇宙ビジネスに投入、勝機は?

安倍首相が宇宙ビジネス支援策を発表

 3月21日、内閣府が主催する宇宙ビジネスシンポジウムが開かれ、宇宙開発利用大賞の発表などさまざまな催しが行われた。筆者も宇宙ベンチャー起業家の方々とともにパネルディスカッションに参加した。

 当日来場した安倍晋三内閣総理大臣から「国家プロジェクトから民間ビジネスのフロンティアへ。この世界的なパラダイムシフトを、わが国が先頭に立って、力強くけん引する。今般政府として、宇宙ベンチャー育成のための新たな支援パッケージをまとめました」との発表があり、注目を集めた。

 支援パッケージは10個の支援策から構成されているが、目玉となるのは政府関係機関による宇宙ビジネス向けのリスクマネー供給拡大であり、具体的には今後5年間で官民合わせて1000億円規模のリスクマネーを宇宙ビジネスに投入することだ。リスクマネーの供給拡大は、2017年に取りまとめを行った「宇宙産業ビジョン2030」で言及されており、それが具体策として打ち出された格好だ。

S-Matchingのメンバーたち S-Matchingのメンバーたち

 それ以外にも、アイデアを持った個人やベンチャー企業と投資家をマッチングするための新たなプラットフォームとして「S-Matching(エス・マッチング)」が発表され、初期メンバーとなった46社および個人が集合した。5月ごろより実際のマッチングがスタートする予定だ。

インドやニュージーランドなどは商業打ち上げサービスに注目

 日本だけではない。宇宙ビジネスには今、世界各国の政府が熱い視線を送っている。これまで宇宙大国として君臨してきた米国と欧州において民間宇宙ビジネスの動きが強くなっているのはご承知の通りだが、経済発展著しい中国とインドもプレゼンスを拡大しつつある。

 両国とも伝統的な国家主導型の宇宙開発のスタイルではあるが、自国のロケットで他国の衛星を打ち上げる商業サービスも推進している。特にインドは国産の大型ロケット「PSLV」による小型衛星の相乗り打ち上げサービスを積極的に行っており、米Planetなどさまざまな衛星ベンチャー企業が自社衛星の打ち上げに活用している。

 小型ロケットに熱視線を送る国もある。ニュージーランドは小型ロケットの開発と打ち上げを目指す米Rocket Labの自社射場を同国内に建設。今年1月には同社が顧客衛星の軌道投入に初めて成功した。また英国ではSkyrora、ORBEXという新企業が拠点を構えて小型ロケット開発を進めている。いずれも今後拡大が期待される小型衛星の打ち上げ需要を見越した動きだ。

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