ソニーが2018年4月27日、2017年度通期の決算を発表。ゲーム、音楽、映画、イメージングプロセッサ、半導体など、ほぼ全ての分野で増収増益となったが、スマートフォン事業は減収減益となった。
2017年度のスマートフォン事業の売上は7237億円で、前年度比で354億円(4.7%)の減収。営業利益は前年度比378億円の損益悪化で、276億円の赤字となった。要因はスマートフォン(Xperia)の販売台数が減少したことが大きい。
2018年度のスマートフォン事業については、2018年1月以降の販売状況や事業環境の変化を踏まえ、収益見通しを下方修正した。Xperiaの販売台数は、2017年度の1350万台から大幅減となる1000万台に絞り込む。また2018年度の営業利益は150億円の赤字を見込んでいる。
Xperiaのラインアップは現在、フラグシップとミッドレンジの2ラインで構成されており、フラグシップとミッドレンジの間に位置付けられる「プレミアムスタンダード」のモデルは2017年から提供していない(関連記事)。2018年は、ミッドレンジの「Xperia XA2」「Xperia XA2 Ultra」「Xperia L2」、フラグシップの「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Compact」「Xperia XZ2 Premium」を発表済み。これらのモデルを中心に、台数を絞りながら展開していくことになる。
2018年4月に発表したXperia XZ2 Premiumは、競合メーカーが2016年〜2017年から取り入れている「(背面の)デュアルカメラ」をようやく搭載。2つのセンサーを組み合わせることで、暗所でより明るく撮影できるよう注力した。しかしメインのフラグシップ機であるXperia XZ2はシングルカメラでやや中途半端な印象も。XZ2シリーズは全体が丸みを帯びているデザインに変更されたが、その分、厚く重くなっている。こうしたデザインがどこまで支持されるのかは気になるところだ。
ソニーは、オーディオ、カメラ、スマートフォンなどの「ブランデッド・ハードウェア(ソニーブランドの製品)」に今後も注力し、ソニー代表執行役 EVP CFOの十時裕樹氏は「分野横断的な施策も強化する」と意気込むが、現状はスマートフォン(Xperia)がソニー全体の足を引っ張ってしまっている。十時氏も「2014年秋からスマートフォン事業の責任者となって取り組んできたが、業績を改善できていないことは大変重く受け止めている」と話す。それでも同社がスマホ事業にこだわるのは、次世代通信規格の「5G」に可能性を見いだしているからだ。
「スマートフォン事業の方向性を考えるうえで5Gが重要。基礎研究からアプリの応用まで、高い技術力を社内で持つ必要があり、ソニーは5G通信技術に積極的に取り組み、グループ全体で活用できる技術へと高めていく」と十時氏。「5G技術は将来、スマートフォンのみならず、さまざまな機器に入ってくる。その技術を内部でつないでいくことは、将来、ブランデッド・ハードウェアに大きな果実をもたらす可能性がある」と期待を寄せる。
ただ、5Gの商用サービスが本格的に始まるのは2020年。それまではスマートフォン事業は赤字を覚悟で継続していくのだろうか。十時氏は「赤字でも仕方がないと考えているわけではない」と話す。「どんな事業であろうと赤字を継続させると、その事業の成立が困難になるので、できるだけサステナブルな形に持っていきたい。1000万台程度の販売台数でも利益が出せるような収益構造に転換したい。そのためにいろいろな施策を導入している。施策の内容は、5月22日に開催するIR Dayで担当者が詳しく話す」とのこと。
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