東京商工リサーチは4月20日、2017年度に不適切な会計を開示した上場企業は64社・64件に上り、08年度の調査開始以来最多だったと発表した。同社は「営業ノルマに対するプレッシャー、グローバル化に伴う会計処理の急速な高度化、それに対応できる人材不足などが不適切会計の要因」と分析する。
内容別では、会計処理ミスなどの「誤り」が29社(45.3%)で最多。以下、架空売り上げの計上など「粉飾」が22社(34.4%)、「着服横領」が13社(20.3%)――と続いた。
発生当事者別では、「子会社・関係会社」が30社(46.8%)と、「親会社」の23社(35.9%)を上回った。
市場別では、東証1部上場企業が34社(53.1%)と半数以上を占め、過去最多だった。13年までは新興市場の上場企業が不適切会計を開示するケースが多かったが、14年からは国内外に子会社・関連会社を多く展開する東証1部企業の増加が目立っている。
同社は「東芝の不適切会計問題以降、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化を求める声が浸透したことも増加の一因だ」とみている。
自主規制法人が“プリンシプル”も
こうした状況を踏まえ、日本取引所自主規制法人は3月30日に「上場会社における不祥事予防のプリンシプル(原則)」を公表。企業の不適切行為を防ぐための指針を記したもので、不適切会計の防止には「経営トップ自らが範を示すことが必要」と指摘している。
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