全国的に交通事故件数が減少傾向にある。自転車事故も例外ではないが、最近は自転車が第1当事者(最も重い過失をした事故当事者)となる事故の割合が増加傾向にあり、自転車の対人事故件数も増加傾向にあるという。
その原因の1つとして挙げられているのが、自転車の「ながら運転」だ。スマートフォンや携帯電話を見たり、ヘッドフォン・イヤフォンで音楽を聴いたりしながら自転車を運転した結果、不注意によって事故を引き起こすケースが増えているという。中には被害者が重傷を負ったり死亡したりした事例もある。
そんな中、KDDI、ナビタイムジャパンとau損保が3月20日、自転車を運転しながらスマートフォン・携帯電話を見ることの危険性を啓発する「自転車安全・安心プロジェクト第2弾」を開始した。今回のプロジェクトで目をひくのは、KDDIが制作したVRコンテンツ「自転車ながらスマホ体験VR」だ。
同日に京都市内で行われたプロジェクト発表会において、筆者はこのコンテンツを体験する機会を得た。その模様を中心に、発表会の模様をお伝えする。
まずセットアップ
体験者はまず、VRヘッドセットとヘッドフォンを装着する。その後、VRヘッドセット用リモコンを操作して「自転車ながらスマホ」をした時としなかった時の前方認知を比較体験することになる。
リアリティを増すために、発表会場ではVRリモコンを据え付けた自転車にまたがって体験する形態を取った。体験イベント時も、基本的にはこの形態で体験してもらう予定だという。
「ながらスマホ」は超コワい
自転車にまたがり準備が整うと、担当者からスマホを手渡される。これを左手に持って、まずは「ながらスマホ」を体験する。
VRリモコンのボタンを押すと自転車の「自動」運転が始まる。前方を横断する人を見つけたら、再びVRリモコンのボタンを押すことでブレーキがかかる。衝突を回避できた場合は青い画面、衝突してしまった場合は赤い画面が出るようになっている。
スマホの画面を注視してチャットに一生懸命になる筆者。すると、自動車の影から突然人が飛び出してくきた。「あああああ」と声をあげた筆者は慌ててブレーキをかける。しかし、ブレーキ操作が間に合わず歩行者と衝突……。
歩行者の安否は不明だ。
衝突後、ながら運転では視野が通常の3分の1になってしまう旨と、ブレーキ初動が遅れてしまう旨が案内される。視力良好かつ視野も広めな筆者ですら、初動が遅れて人と衝突することになってしまった。
やっぱり注視が一番!
次に、スマホを持たずに同条件で「運転」をする。VRリモコンのボタンを押して出発、再度押してブレーキという条件は先ほどと同様だ。
しばらく進むと自動車の影から人が出てくる。前方をしっかり注視していたおかげで、歩行者を難なく発見でき、余裕をもってブレーキ。無事、衝突を回避できた。
両者の体験が終わると、歩行者が飛び出してから反応をする(ブレーキをかけ始める)までにどのくらいの時間が掛かったかを見比べられる。結果を見ると、前方をしっかり見て運転することの重要さが身にしみて分かる。
自転車ながらスマホ体験VRは、4月6日に京都市左京区の岡崎公園で開催される「春の交通安全運動スタート式」で体験できる。また、KDDIが主催または協賛する各種イベントでも体験の機会を設ける予定だという。
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