ファーウェイの「Mate 10 Pro」は128GBのストレージを搭載してmicroSDカードに非対応というAndroidにしては珍しい仕様だが、もうひとつ、3.5mmのイヤホンジャックを省いているのも特徴で、iPhone同様に、オーディオ環境の変更を迫られている。
その代わりという形なのか、Mate 10 ProはBluetoothにおいて、aptXに加えて、ソニーが提唱したLDACもサポートするなど、現時点で最も高音質な仕様のコーデックを利用できる。もちろん、最高の音質を追求するならUSB OTGケーブルでデジタル出力をして外部のポータブルDACに入力するという方法もあるのだが、ここではBluetoothによる無線環境の利便性を残しながらなんとか音質にも気を配った環境としてみたい。
今回筆者が購入してみたのは、オーディオテクニカから2017年11月に発売されたワイヤレスヘッドホンアンプ「AT-PHA55BT」だ。価格は税込で1万6000円ほど。Bluetoothで接続する小型のヘッドホンアンプという製品で、一般的な3.5mmプラグのイヤホンやヘッドホンを接続して利用する。Bluetooth接続では標準となるSBCのほかに、AAC(iPhone)、aptX、LDACをサポートしている。Mate 10 ProのBluetoothの性能を活かせる内容というわけだ。
Bluetoothの通信ユニットがイヤホンのケーブル部分と一体になった製品や、ネックバンドタイプの製品、そしてBluetoothヘッドホンなど、Bluetooth対応製品は今や百花繚乱の時代。アダプタータイプの製品をわざわざ選択しなくても、という考えもあるが、LDAC対応で絞り込み、好みの形状や色を加味していくと、選択肢はぐっと少なくなる。3.5mmプラグのイヤホンを流用でき、LDACもサポートする「AT-PHA55BT」はいい具合にスキマを突いた製品ともいえる。
その「AT-PHA55BT」のLDACでの接続だが、スマートフォン側で「音質重視の最適化」「音質と接続品質のバランス重視の設定」という2種類を選択でき、「音質重視の最適化」を選択した場合にLDACの最高スペックである990kbps(96kHz/24bit)で接続できる。
ただ、「音質重視」で接続すると、双方をすぐ近くに置いていても、ノイズが頻繁に乗ってまともに再生できない場合がある。そういう場合、機器の電源やBluetoothのオン・オフで接続し直すと、ノイズの乗らない接続になる。地下鉄で通勤するケースでは、「音質重視」でうまく接続できている場合、乗降者数の多い駅の進入時にノイズが乗ることはあるが、トータルでみれば許容範囲と感じた。一度のノイズの混入も許せないという場合は、上記LDACの設定で「バランス重視」(恐らく660kbpsでの接続)を選択すれば、周囲の環境の変化でもほぼノイズの乗らない接続になる。
このあたり、混雑しがちな2.4GHz帯を使う規格であることや、ビットレートの高い接続ということで、少しシビアな印象だ。機器双方のアンテナ性能にも左右されるだろう。
あとこれは説明書にも書かれているのだが、機器との組み合わせによっては、「AT-PHA55BT」本体のボタンで曲送り、再生・一時停止、曲戻しの3つの操作ができない場合がある(ボリューム操作は可能)。Mate 10 Proとの組み合わせでもかなりの確率で、この3つの操作はできない。もっとも、曲の操作はスマートフォン側でしてしまうので、大きな問題にはなっていないが……。
このほか、「AT-PHA55BT」にはダイナミック・ドライバー用(Aモード)とバランスドアーマチュア・ドライバー用(Bモード)のモードが用意されているのがユニーク。オーディオテクニカのダイナミック・ドライバー搭載のイヤホン「ATH-CKR90」を組み合わせて使用しており、聴き比べた結果、推奨通りダイナミック・ドライバー向けのAモードを使用している。
Mate 10 Proと「AT-PHA55BT」のLDACでの接続は、ノイズの乗らない接続になるよう試行する場合があるという不安定さはあるもの、うまく接続できれば、なかなかの高音質で音楽を楽しめる。すでにお気に入りのイヤホンやヘッドホンがあるなら、それを流用できるという意味でもオススメではないだろうか。
ケータイ Watchで全文を見る
0 件のコメント:
コメントを投稿