アメリカ大統領選挙における偽ニュース問題。ヨーロッパでどんどんと厳しくなるプラットフォームに対する規制や処罰。そんな中、Facebook(フェイスブック)はニュースフィードのアルゴリズムを変更し、ニュースへの関わりから一歩下がろうとしている…と思った矢先のニュースです。どうもFacebookはニュース業界に本格的に参入しようとしているようです。
Facebookは、昨年ローンチされたビデオ視聴用のセグメントである「Watch(ウォッチ)」にニュースビデオ専用の部門を試験的に導入するとのこと。「開始はこの夏を予定している」と先日Axiosがレポートしました。このプロジェクト開始にあたって、Facebookは10社ほどのレガシー・メディアとデジタル・ファーストのニュースメディアとパートナー契約を結ぼうとしているようです。Axiosが入手した情報によると、これらのパブリッシャーたちはウォッチにおいて毎日更新されるニュース番組を制作するとのこと。
ターゲットを絞った新しい種類の番組提供をしていく、というFacebookウォッチの戦略において、タイムリーなニュース・ビデオを提供する、というのが最新の動きです。Facebook上におけるクオリティーの高いニュースをサポートするための広範な取り組みの一環として、幅広いパートナー候補たちとの番組制作を念頭にミーティングを行なう計画を立てています。ソーシャルメディアにとっての良いニュース番組について学習し、開発し、イノベーションを起こすことが狙いです。既に行なわれたミーティングの内容は非常にポジティブなものとなっており、今後の可能性に期待を膨らませています。
とAxiosが入手した声明で語ったのはFacebookのニュース・パートナーシップ部門の責任者であるCampbell Brown氏です。
昨年Facebookウォッチがローンチした時は、低クオリティなバイラル動画が量産されました。しかしそれ以降はゆっくりと改善を見せ、個人のプロデューサーやWiredそして米Gizmodoといったパブリッシャーからのショート・ビデオがメインとなっています。また同時に偽ニュース騒動を受けて、Facebookはニュースフィードのアルゴリズムを変更。家族や友人たちによる投稿を優先的に表示することでフィード上のニュース記事やビデオの存在を削減しました。今回は、ちゃんとしたニュース・メディアと直接協力してニュースに取り組むということで、Facebook上での偽ニュース拡散を防ごうとしている。そういう点では一貫した戦略であるといえますね。
しかし振り返ってみると、長らくFacebookが言ってきた「われわれはメディア会社ではない」という主張も、段々と説得力が無くなってきています。
2016年8月にCEOであるMark Zuckerbergは「私たちはテック会社であってメディア会社ではない」と発言しました。同じ年の12月には彼はこの宣言をFacebook上の投稿において若干修正し、「Facebookはテクノロジー会社である、しかしプラットフォームで情報をやり取りさせるためのテクノロジーを作る以上の大きい責任を持っていると認識している」と言っています。
ユーザたちが読んだりシェアしたりするニュース記事を我々が直接書く事はしないが、ニュース配信以上の役割を担っていることを認識している。Facebookはパブリックな対話を持つための、新しい種類のプラットフォームとなっている。このことは人々が正しい情報を得て、有意義な会話を持てるようにする責任を私たちは持っていることを意味している。
それから1年と少し経った今、Facebookはただニュースを配信するだけではなくニュースを作る側に足を踏み入れようとしているように思われます。表向きのPRではFacebook上で見られるニュースを正当なものにするという戦略の一環のように述べられていますが、それでもまだおびただしい数の誤った情報が流れており、Facebookはその対応に追われています。現在生じている偽ニュースの問題に正面から立ち向かうのではなく、新しいニュース・プロダクトを提供する。これがFacebookの最新のアプローチというわけです。果たしてこれが本当にソーシャルメディアにおけるニュース環境の是正となるのか、今後の発展に注目です。
Image: Getty
Source: Axios
Melanie Ehrenkranz - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)
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