日本企業のクラウド採用率は17%で1年前と変わらず
「クラウドを使うか使わないかの論議はもう終わり。もはやマスト。問題はどう使うかだ」――。ガートナー ジャパンの亦賀(またが)忠明ガートナーリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストは、同社が2018年4月25〜27日に都内で開催した「ガートナーITインフラストラクチャ&データセンターサミット2018」の講演でこう切り出した。
今回は、この亦賀氏の講演から、筆者が興味深く感じた内容を幾つか取り上げたい。また、ちょうど1年前に同氏が同じテーマで講演した内容を2017年5月8日掲載の本コラム「“クラウド後進国、日本”は、変われるか ガートナーの見方は」で取り上げているので、ぜひとも見比べてみていただきたい。
まず、図1は、注目される技術の動向を示すガートナー独自の「ハイプサイクル」におけるクラウドの現状を表したものだ。これによると、日本でのクラウドは1年前と同じく「幻滅期」から「普及活動期」へ移行する節目にある。言い換えれば「本格利用前夜で止まっている」状況だ。同社が2018年2月に調査した日本企業におけるクラウドの採用率も、1年前と変わらず17%だった。
なぜ、止まっているのか。亦賀氏はユーザーとSIerの観点から、「ユーザーはクラウドサービスを使おうにもスキルが足りない。一方で、従来型のSIerからクラウドサービスの積極的なプロモーションは当面期待できない」からだと分析。打開策として、「ユーザーはITの在り方が根本から変わることを理解し、クラウドの“運転技術”を習得する必要がある。一方、SIerは将来的な存続リスクまで視野に入れて新たな戦略を立てるべきだ」との見解を示した。
では、企業はどのようなIaaSを選ぶべきか。同氏が、「IaaS選定時の重要項目トップ10」として挙げたのが図2の左側である。1年前と違ってトップ10に入ってきたのが丸印のついた項目だ。これを見ると、クラウドへの理解が少しずつ進んでいるようだ。右側には、日本における主要IaaSの利用状況も示されている。非常に興味深いグラフである。亦賀氏は「勢いのないIaaSはそのベンダーの戦略が揺らいでいるように見受けられる」と分析。ただ、「これはシェアではなく、個々の利用率の勢いを示したもの」とのことだった。
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