コアネットワーク=情報通信網の中核
コアネットワークとは、その名の通り、情報通信網の中核にあたる部分を示す言葉です。「基幹通信網」「バックボーン」と呼ばれることもあります。
携帯電話の場合、ネットワークは、ざっくり言えば「端末」~「基地局」~「制御装置」~「交換機」~「他の交換機」といった形で繋がっています。こうした仕組みに対し、制御装置以降を「コアネットワーク」と呼ぶことが多いようです。
LTE世代のコアネットワークは、EPC(Evolved Packet Core)と呼ばれています。日本語で言えば「進化したパケットコア」となりますが、その名前の通り3Gの頃と比べてIP(Internet Packet)化が進んで、データ通信とより親和性が高くなりました。
コアネットワーク内の制御装置には、LTEの場合、携帯電話の制御信号のゲートウェイとして働くMME(Mobility Management Entity)や、ユーザーのデータそのもののゲートウェイであるSGW(Serving Gateway)、外部であるインターネットに接続するためのゲートウェイとして機能するPGW(Packet data network Gateway)があります。
ユーザー情報のデータベースであるHSS(Home Subscriber Server)、ネットワークポリシーや課金のルールをもつデータベースであるPCRF(Policy and Charging Rules Function)は、一般的にはコアネットワークには含まないようですが、システムによっては含む場合もあります。
いずれにしてもユーザーからすれば、携帯電話基地局のさらに奥で、裏方として働いている装置たち……と思えば、イメージは近いでしょう。
コアネットワークで障害が起きると、ネットワーク内のさまざまな部分で、繋がりにくくなることがあり得ます。通信ネットワークにおいては最も重要とされる部分です。
ちなみに携帯電話以外でもコアネットワークという用語はよく使われます。たとえば企業WANのサーバー~サーバーの間の基幹回線網、クラウドサービスを使う場合には社内のルーターからクラウドサービス提供者のゲートウェイまでを指すことがあります。
5G対応の次世代コアに進化
国内の携帯電話大手三社は、2018年現在、コアネットワークには、IPネットワークで構築した「EPC」を使っています
前述の説明では、LTEに関する部分にのみ説明しましたが、実際のEPCは、LTEに加え、W-CDMA、CDMA2000、WiMAXなど、さまざまな無線システムのアクセス網を収容します。さらに、端末がこれらの無線システム間で切り替えを行いながら通信を継続できるハンドオーバーも行ったりするためその内部は非常に複雑です。
通信業界の国際的な団体である3GPPが策定した新たな標準規格である「Release 15」以降では、2020年ごろからサービスが開始される「5G」、そしてその後継規格の仕様が定められていきます。そうした中で、コアネットワークについても次世代への移行が提案されています。5G世代のコアネットワークを指して「5GCN」「NGC」(次世代コア/Next Generation Core)などと呼ぶこともあります。
5Gのコアネットワークでは、EPCの発展として、ユーザーデータの送受信処理を行う「ユーザープレーン」機能群と、通信の確立などをするためにやりとりされる「制御プレーン」機能群とが明確に分けることが提案されています。
4GでのHSSに相当するUDR(Unified Data Repository)、PCRFに相当するPCF(Policy Control Function)、そしてEPCにはなかったアプリケーションサーバーAF(Application Funciton)なども制御プレーン機能群の一部として規定されました。
2020年ごろの5G開始に合わせて、これらが一気に実用化されるわけではありませんが、いずれは、5G世代のコアネットワークへ移行し、5GコアネットワークでLTE基地局・5G NRの両方を収容するようになるでしょう。
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