東京都都市整備局はこのほど、1981年5月31日以前の「旧耐震基準」に準拠して建設された建造物の耐震性調査結果を発表した。都内の計847棟の建造物のうち、震度6強〜7程度の大地震が起きた際に倒壊する危険性が高いものは156棟に上った。
調査は(1)病院や店舗など不特定多数の人物が利用する施設、(2)特定緊急輸送道路の沿道に存在し、高さが道路幅の半分以上の建造物――にカテゴリ―を分割して実施し、安全性を1〜3の3段階で評価した。
竣工50年超の「紀伊國屋ビル」も該当
(1)のカテゴリ―では、耐震性が最低ランクの1に相当する建物は17棟。具体的には、紀伊國屋書店 新宿店が入居する「紀伊國屋ビル」(新宿区)などが該当。同ビルは建築家の故・前川國男氏が設計を担当し、64年に建てられた。2004年には竣工50周年を記念した企画なども展開された。
しかし調査では、店舗棟・ホール棟ともに、鉄骨の強度などが「安全」と判断できるラインの半分程度であることが判明。同局の担当者は「震度5強程度の中規模地震には耐えられるが、阪神淡路大震災のように大規模な都市型地震が発生した場合は損傷する恐れがある」と警鐘を鳴らす。
ファッションビル「SHIBUYA109」が入居する「道玄坂共同ビル」(渋谷区)も耐震性は最低ランクだったが、19年度に耐震工事を行うことが決定している。
このほか、アパレル専門店の「アブアブ赤札堂上野店」(台東区)、ボーリング場や漫画喫茶が入居する「ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町」(新宿区)――などの耐震性が最低ランクだった。
事務所なども多数該当
(2)のカテゴリーでは、事務所の「銀座貿易ビル」(中央区)や「芝浦ビル」(港区)、共同住宅の「春日ビル」(同)や「ストーク新宿」(新宿区)――など139棟の耐震性が1に該当した。
東京都都市整備局は「耐震性が低いと判断された建造物に対し、耐震改修工事を行うよう引き続き強く呼び掛けていく」(担当者)とコメントしている。
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