科学技術振興機構(JST)は3月30日、スーパーコンピュータの開発を委託していたベンチャーExaScaler(東京都千代田区)に対し、開発中止を決め、支払った開発費約52億円を全額返還するよう求めたと発表した。開発を委託した当初の計画と比べると、大幅に変更された内容になっていたためという。
JSTは2017年1月、リスクが高い大規模な開発を支援する事業「NexTEP」の一環で、公募案の中からExaScalerの事業を採択。世界トップレベルの計算性能を持つスーパーコンピュータ開発のため、約60億円を限度額に支援する計画だった。
しかし、その後に同社が報告した開発状況が「採択時のものから大幅な計画変更となっており、採択した前提を欠くものと判断せざるを得なかった」(JST)という。第三者の評価も踏まえ「開発を中止すべき相当の理由があり、開発の継続が適切でない」とし、既に支払った約52億円の返還を求めている。
スーパーコンピュータの開発事業を巡っては17年12月、ベンチャー企業のPEZY Computing(千代田区)の社長が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から助成金をだまし取った疑いで、東京地検に逮捕された。同社は助成金の一部など約9億4000万円を返還している。
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