2018年3月22日木曜日

[ITmedia ビジネスオンライン] 新聞購読が減っているのに凸版印刷がチラシで稼いでいる理由

特集:新しいビジネスの種はどこにある?

既存の事業が成熟期を迎えた企業がさらにビジネスを拡大するためには、ざっくり言って、海外など新しいマーケットを開拓するか、これまでとはまるで異なる新規事業を立ち上げるかの2つだ。実際、「新規事業開発室」といった名称の部署がある会社は少なくないが、必ずしも成果が出ているとは言い難い。それはなぜだろうか。本特集では新規事業が成功するための秘けつを探る。

 凸版印刷がチラシで稼いでいる。チラシといっても新聞の折り込みチラシではない。「電子チラシ」を配信する事業が好調なのだ。サービス名は「Shufoo!(シュフー)」。自分が住む地域のスーパーなどのチラシをスマホやPCで閲覧できる。2010年から本格展開して、15年に事業を黒字化させた。

 Shufoo!に掲載する企業数は3600社を突破(2018年2月末時点、以下同)。月間アクティブユーザー数(1カ月の間にサービスを1回以上利用した人数)は1000万人、月間ページビュー数(ページが開かれた回数)が3.7億PVという日本最大級の買い物情報デジタルメディアに成長した。

 黒字化を達成できたのは、赤字が続いても諦めずにコツコツと掲載企業の数を増やし、利用者の利便性を向上させ続けたおかげだ。サービス担当者にこれまでの道のりと苦労を聞いた。

photo Shufoo!に掲載されているスーパーのチラシ
photo Shufoo!の概要

 まず、サービス概要について説明しよう。基本的な流れはこうだ。スーパーなどの企業がチラシをShufoo!に掲載する。ユーザーはShufoo!に自宅の住所を入力する。Shufoo!アプリを開くと近隣にあるスーパーなどのチラシがずらりと並ぶ。ユーザーはチラシを閲覧する。新聞の折り込みチラシを電子化しただけでなく、Shufoo!だけのチラシも存在する。

 ユーザーはShufoo!を無料で使える。チラシを掲載する企業は基本的にチラシの閲覧数に応じた料金を凸版印刷に支払う。掲載企業は小売業に限らない。食品メーカーやレンタルビデオチェーン店も商品やサービスの情報を発信している。

 ユーザーの7割超は女性だ。女性ユーザーのうち30〜40代が6割を占める。女性ユーザーの6割には子どもがいる。つまり、これまで新聞のチラシを熱心に読んでいた層がそのままスマホに移行したと考えられる。

photo Shufoo!のユーザー属性

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