2018年3月17日土曜日

ANAスポンサーのXPRIZE:2021年までに遠隔操作のロボットを完成させれば約8億円の賞金


月面探査レースの次はロボットです。

ロボットを操作して怪獣を倒したり、人命救助をしたり。色々な映画やアニメの世界で、我々はロボットをコントロールする夢を描いてきました。ロボット開発は怖くなるほど高度な物も世に出るようになってきました。もしかしたら一昔前の漫画やアニメで描かれていたロボットならそのうち登場してしまいそう...なんて思っていたら、それを実現するための壮大なコンペティションが発表されました。主催は、月面着陸コンペティションも開催したPeter Diamandisさんによる非営利団体、Xプライズ財団(The X Prize Foundation)によるもの。

毎回大企業にスポンサーとして参加してもらい、多額の賞金を掲げることで技術的・社会的なブレイクスルーを促進しようとする財団です。1996年に発足してから、これまでチャレンジしてきた分野は大人の識字率向上、AI、女性の安全、サブオービタル、宇宙弾道飛行などが含まれます。

今回のパートナーは全日本空輸(ANA)。4年後に見事、コンペティションでグランプリを獲得すれば賞金800万ドル(約8.5億円)が授与されます。課題は「人間が遠隔からコントロールするロボット・アバターを作る」こと。遠隔からコントロールできるだけでなく、コントロールするオペレーターはロボットの周囲の環境を見ることができ、音を聞くこともできなくてはいけません。またロボットを動かして周囲の人間や物体に触る、持ち上げる、動かすなどの作業が出来る必要があります。

テクノロジーの助けを借りて、遠くの距離にいながらも人々がお互いを助け合うことができる。そんな時代をDiamandisさんは描いているようです。現時点で出されているコンペティションのガイドラインによると、アバターはトランプカード1枚ほどの小さな物体を手に取って持ち上げられなければいけません。またロボットを操作するオペレーターはロボットから100キロメートル離れていても完璧にコントロールできなくてはいけません。

我々が異なる場所を物理的に体験したり、必要に応じて地上での支援を提供するための能力は、コストと時間の自由によって制限されています。「全日空・アバター・Xプライズ(ANA Avatar XPRIZE)」はこういった限界を超越する大胆な代替案を作る可能性を持っています。それによって、地理的に離れた場所にも、より早くより効率的に特定のスキルや専門的な経験を必要に応じて分配することができるようになるでしょう。これは距離、時間、文化のギャップを埋める架け橋となります

Diamandisさんはプレスリリースの中で、こう述べています。

Xプライズが浮かべているアイディアはいくつかありますが、どれも「おお、実現してほしい...」と唸らせるものです。遠くに住む高齢の両親の力仕事を助ける。何千マイルも離れたところで災害現場の復興・救助の手助けをするなどです。医者であれば海外から診断や場合によっては簡単な施術もできるかもしれませんよね。スポンサーについたのが物理的に人を動かしているANAというのもなかなかロマンチックです。

現在のガイドラインでは、応募されたロボットは人間が持つ五感を基準として審査される、となっています。オペレーターたちは環境がちゃんと見えていなければならず、視覚的な深さも認識できなければいけません。アバターである遠隔地のロボットをコントロールするにあたって、オペレーターが発する声もロボットから発せられ、周りにいる人々に明確に聞こえなければいけません。オペレーターたちは周囲の騒音も聞こえなければいけません。ロボットのセットアップにかかる時間、ロボットが1回の充電でどれだけ長い間稼働できるかといった項目も審査されます。審査ポイントの中でも難しそうなのは、「触覚」です。オペレーターたちは重い物体を持ち上げて3キロ以下の距離まで運べる必要があります。またその物体の温度も感じられなければいけません。また逆にロボットが誰かによって触られたときには、どこを触られているかがオペレーターに伝わる必要があるとのこと。これは果たしてどんなインターフェースが提案されるのか、楽しみです。

2020年の4月から2021年の4月の間には細かい進捗をチェックするための、マイルストーン賞がそれぞれ100万ドル(約1億円)の賞金として定められています。マイルストーン賞を獲得するかしないかはグランプリ獲得には関係ないとのこと。最初のマイルストーン賞だけを獲得する、という戦略もアリかもしれません。800万ドル(約8.5億円)が授与されるグランプリが発表されるのは2021年10月とのこと。参加したい方はこちらから登録ができますよ。


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Source: Fast Co

Sidney Fussell - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)



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