アメリカ政府によるZTEへの制裁措置の影響は、日本にも大きな影を落としそうだ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年4月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
4月27日、NTTドコモ決算会見で、吉澤和弘社長が同社におけるZTEの影響について言及。
同社の端末ラインナップのなかに「MONO」と「M」が存在するが、販売については「どちらも当面、在庫の販売を継続できる。故障対応もかなりの期間、サポートできるのではないか」(吉澤社長)としている。
制裁措置では、アメリカ企業がZTEへの輸出を制限することになるため、クアルコムのSnapdragonなどが影響を受けると見られている。
しかし、制裁措置は何も部材だけに留まらない。場合によっては、Androidもアメリカの企業の製品という扱いになれば、ZTEはAndroidも使えなくなる可能性が高い。
ZTEが扱うAndroidについて吉澤社長は「OSのサポート、バージョンアップなどの顧客に対する保護については現在、ZTEに確認をしているところ。ZTEはアメリカでもそれなりにシェアがある。ZTEの反応を待ってから判断する」とした。
ZTEの製品は当然のことながら、NTTドコモ以外のキャリアにも納入されている。
ここ最近は、KDDIに「mamorino4」、ソフトバンクに「キッズフォン」がラインナップされている。実際、これらの製品にどれくらいアメリカ発の部材が使われているかは不明だが(au VoLTEが使えることを考えると、AndroidベースでSnapdragonを使っていると想定される)、いずれも子ども向け端末で、ライフサイクルが長めの製品と言えるだけに「サポートがどれくらいの期間できるか」というのはかなり繊細な問題になりそうだ。
キャリアとしては、将来的なことを考えると、ZTE以外のメーカーにキッズ端末を発注せざるを得ないだろう。
ほかにもZTEは、ソフトバンクと共同で4.5GHz帯での5G実証実験を芝大門近辺で実施しているとされている。
ネットワーク関連でも、アメリカ政府の制裁措置の影響が出てくるとなると、2020年に向けた5Gへの展開で足を引っ張る可能性も出てくる。
見方を変えれば、例えば、アメリカ市場ではZTEはそれなりに端末のシェアがあったが、それがポッカリと無くなるとなれば、他のスマホメーカーにはアメリカ進出のチャンスになる。また、日本市場においても、子ども向け端末やNTTドコモのような、キャリア仕様の強い下請け端末を受注するメーカーがいなくなるということは、それだけ他メーカーにとってはチャンスが到来したとも言える。
ZTEとしては企業の存続が危ぶまれる一方で、他のメーカーにとっては千載一遇の機会が訪れたと言って良さそうだ。
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