2018年4月25日水曜日

[ITmedia エンタープライズ] 水中カメラの映像からAIで養殖魚の体長や体重を自動測定 測定工数を6分の1に――ニッスイとNECが共同開発


 NECと日本水産(ニッスイ)は2018年4月24日、養殖魚の体長などの測定を自動化するクラウドソリューションを共同開発したと発表した。

 現在の養殖では、育成中の魚の成長状態を管理し、適切な給餌量や漁獲高を推定するための魚の体長や体重測定は、直接網ですくい上げて測定するか、いけす内の撮影映像をコマ送りして測定対象魚の測定点を一尾ごとに手作業でプロットして測定する方法が主であり、IT化による測定業務の効率化が求められているという。

 今回開発したソリューションでは、ステレオカメラで撮影したいけす内の養殖魚の映像から、体長と体重をAI(機械学習)で自動算出する。

 具体的には、撮影された魚群の映像から、AIで測定対象の魚を検出し、同時に測定点を自動的に抽出。その測定点に基づいて、尾叉長(びさちょう、上あごの先端から尾びれが二叉する中央部のへこみの外縁まで)や体高(体の背縁から腹縁までの垂直の長さ)を自動測定する。さらに、これらの値から、魚体重換算モデル式を用いて魚体重を算出する。

 これにより、人手を介さずにいけす内の養殖魚全体の体長と体重の平均値や分布を把握でき、養殖魚測定の工数を約6分の1削減できるという。また、測定可能な尾数が増え、人為的誤差(測定点のプロット位置のばらつき、長時間作業による集中力の低下)も排除できるなど、測定精度も向上するという。

 本ソリューションは、魚体と非接触のため、魚体を傷めずに正確な魚長・魚体重を測定でき、従来のサンプリング式のようなストレスによるへい死や魚病リスクを回避できる上、測定作業の自動化、簡素化により、人的・時間的負担を大幅に軽減し、人為的誤差の排除による測定精度の向上や、生産性向上が期待できるとしている。

 今回のソリューションは、ブリを対象に開発を進めたが、今後は測定対象魚種をマグロにも拡大する計画だ。NECでは、2018年度下期から「魚長等測定自動化サービス(仮)」としてクラウドサービスで同ソリューションの提供を開始する予定。また、ニッスイはブリ・マグロの養殖事業者向けに、同ソリューションを利用した配合飼料の効率的な活用を提案する取り組みを開始する予定だという。

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