海外メーカーの携帯電話を1500台以上所有する筆者のコレクションから、過去の懐かしい製品を振り返る「懐かしの海外ケータイ」。記念すべき第1回に紹介するのは、Nokiaが1999年に米国で発売した「8860」です。
海外の携帯電話がまだ「黒くてゴツイ」製品ばかりだった1998年、Nokiaからすい星のごとく登場したプレミアムデザインの携帯電話が「8810」でした。GSM900方式に対応、テンキー部分はスライド式のフリップに覆われ、アンテナを本体に内蔵したことですっきりとしたデザインになりました。
最大の特徴はシルバーメッキのボディー。高級感あふれる外観で、発売時の価格で20万円相当したといいます。「携帯電話界のポルシェ」とも呼ばれ、セレブなどがこぞって購入したそうです。
その8810を米国向けとしたのが本モデル「8860」です。8810との外観上の大きな違いは発信ボタンが緑色から緑字のTALK表記、切断ボタンが赤色から赤字のEND表記になったことです。当時の米国の携帯電話はこの表記が一般的でした。
通信方式はTDMAのためSIMを利用せず、バッテリーを外すと8810に見られるSIMスロットがありません。バッテリーを外した本体の内部にはROM書き換えなどを行うためのサービス端子がありますが、2列に並んだ8つの端子穴は自動車パーツを思わせるデザイン。通り名だけではなく、内部の造りもスポーツカーを多少意識していたようです。
本体素材は樹脂で、その上にメッキを施しているために、使い続けていくうちに傷が付いてしまうという欠点もありました。しかし、だからこそ購入者はこの8810や8860をケースに入れて大切に使っていたに違いありません。今見ても十分美しいフォルムは、古臭さを全く感じさせません。海外携帯電話マニアは誰もがコレクションとして欲しがる製品ですが、今となってはこのように美しいミント状態のものを探すのは困難です。
ちなみにNokiaの携帯電話はこれ以降、8000番台は高級モデル、ラグジュアリーモデルとして独自の進化を遂げていきます。貴金属を使った1000万円もする超高級携帯電話「VERTU」の元祖も、実はこの8810/8860なのです。携帯電話がまだ通話とSMSしかできなかった時代から、Nokiaは性能だけではなく外観にもこだわった製品を開発していたのです。
「8860」の主な仕様
- メーカー:Nokia
- 発売年:1999年
- 通信方式:TDMA
- サイズ:約46(幅)×107(高さ)×18(奥行き)mm
- 重量:約118g
- その他:モノクロ5行表示ディスプレイ、600mAh NiMHバッテリー
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