シャープは、2018年3月8〜11日に、中国・上海の上海国際博覧センターで開催されている「中国家電消費電子博覧会(AWE)2018」に出展。104型パネルを8枚組み合わせた8Kディスプレイで「宋版清明上河図」を展示し、来場者の注目を集めた。
中国家電消費電子博覧会でのシャープブースの様子
シャープの代表取締役社長の戴正呉氏もシャープブースを訪問し、「両岸(台湾と北京)の故宮が所蔵する清明上河図の作品が、シャープの8Kディスプレイで結びつき、世界で初めて披露することができた」とコメント。「ルーブル美術館など、海外の著名な博物館では、4Kで撮影された作品はあるが、今回のシャープ8Kと故宮のように、深くて広いコラボレーションは業界でも初めてのことになる。近いうちに、多くの中国の人たちに、お見せできる」などとした。
2月11日に、台湾台北市で開催した鴻海グループの忘年会では、シャープ 8Kディスプレイをつなぎ合わせて作った26メートルの巨大スクリーンに、台湾の故宮博物院が所蔵している「清院本清明上河図」を再現していた。
シャープの戴社長は、今後、美術や芸術の分野における8K技術の活用を進め、将来的には、全世界に8K博物館を展開する意向を示している。
シャープブースに隣接したFOXCONNブースで写真を撮影した戴社長(中央)。右端が中国担当の共同CEOである代表取締役の高山俊明氏
鴻海の販売網を活用したテレビ戦略を白物や通信分野にも展開
シャープの戴社長は、社長就任以降、海外視察を積極化しており、自らが、シャープの「ブランド大使」となり、日本以外での大型イベントへの出席を増やしている。
今回の中国家電消費電子博覧会への訪問も、ブランド大使として、シャープブランドの海外での訴求を目的としており、現地メディアの取材などにも対応した。
中国メディアの取材を受ける戴社長
ここでは、シャープが長年に渡り、よりよい生活の実現に貢献してきたことや、きれいな空気、水、食べ物といった人の生活の基本を重視し、「人」の本質的な要求に対応した商品を作り続けてきたこと、創業以来、105年の経験を活かして設計した各種製品で、人々の生活を衣食住の面からサポートしていることを強調。「生産段階からユーザーの手に渡るまでの間の厳格な品質管理が、全世界のユーザーが、シャープに満足し、シャープを愛し、シャープにロイヤリティを持っていただくことにつながる」などとした。
中国市場は、シャープの海外事業拡大において重要な市場の1つに位置づけている。すでに、液晶テレビ事業においては、中国における鴻海グループの販売網を活用し、中国における販売を大幅に拡大。「大幅伸長を達成したテレビ事業での協業モデルを、白物家電や通信分野でも展開していく」などとしている。
戴社長は、「シャープが飛躍的な売上拡大を実現するためには、事業の軸足を、日本から海外へと移していかなくてはならない。中国やASEANのみならず、今後は欧州や米州における事業拡大にも積極的に取り組む。グローバルでビジネスを拡大していくことになる」と述べている。
今後、鴻海グループの販売網を活用したシャープの海外事業拡大が加速するのは明らかだ。今回の戴社長の中国家電消費電子博覧会への訪問は、海外事業拡大に向けた足掛かりを構築する上でも重要なものになったようだ。
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