SNSや動画サービスで影響力の高い「インフルエンサー」に商品をPRしてもらう「インフルエンサーマーケティング」が注目を浴びている。「インスタ映え」が2017年の流行語大賞となり、YouTuberが小学生男子の「なりたい職業」にランクイン。吉本興業などの大手プロダクションや出版社もインフルエンサー事業に相次いで参入し、一大市場を築こうとしている。
SNSや動画サービスを利用する層に向けたビジネスを展開する際には、インフルエンサーによるマーケティングはもはや必要不可欠になってきている。しかしインフルエンサーに対してネガティブなイメージを抱いていたり、“最初の一歩”について悩んでいたりする企業も少なくない。
“最前線”はどのようなものなのか。インフルエンサーマーケティングを成功させるポイントとはなんなのか。展示会「コンテンツ東京」(4月4〜6日、東京ビッグサイト)のセミナーでメルカリとUUUMが語った。
メルカリが積み上げてきた“ノウハウ”
フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリは、初期からインフルエンサーマーケティングに力を入れてきた企業の1つだ。YouTubeやTwitterで影響力のあるインフルエンサーと組み、認知を拡大。近年はマインドシェア(ユーザーの心の中でメルカリがどれだけの割合を占めているか)の獲得や、利用の促進を図っている。
同社のマーケティンググループ シニアマーケティングスペシャリスト 鋤柄直哉さんは、インフルエンサーマーケティングには「パフォーマンスマーケティング」と「ブランドマーケティング」の2つがあると話す。
パフォーマンスマーケティングの例として紹介されたのは、インフルエンサーの私物出品キャンペーンや、利用によってプレゼントが当たるキャンペーンなど。インフルエンサーによるTwitterやYouTube告知投稿からの流入数や、投稿後の流通額変化などから、効果を数字として計測できるのがポイントだ。
メルカリは15年からインフルエンサーを活用したキャンペーンを開始。さまざまなパターンを試し、「Twitterに投稿する画像は作り込んだものより、自撮りなどの自然なものがいい」「影響力の大きい人ほど新規ユーザーの獲得効率がよい」「新規獲得を狙うなら、既存ユーザーとは違うセグメントの方が効果的」「コアファンが多いタレントとコラボすると購入のモチベーションが上がり、流通額増に貢献する」――とノウハウを積み上げていった。
インフルエンサーや一般ユーザーに、SNSに投稿してもらう「ブランドマーケティング」にも挑戦している。例えば、ハロウィーンイベントや期間限定カフェなど「オフライン(リアル)の場」を作り、ロゴやオリジナルメニューなど「投稿したくなる」スポットを用意。こうした施策によるSNSへの投稿は、数値での分析は難しいものの、PRや集客促進の効果が期待できるため、継続して行っていくという。
鋤柄さんはインフルエンサーマーケティングのポイントを、(1)目的やサービスの段階によって、KPIや活用するメディアを検討する、(2)「こういう表現をしてほしい」などの広告主のエゴを出しすぎず、インフルエンサーに普段のコミュニケーションを取ってもらう、(3)メディアやSNSからやってきたユーザーが違和感がないように、サービス内に「受け」となるページを用意しておく――と語る。
特に1つ目は、「インフルエンサーマーケティングを始めてみたい」と思っている企業にとっては非常に重要だ。「なんとなくインフルエンサーに投稿してもらい、なんとなく認知が広がった気がする」というやり方では効果は低い。目的は「認知拡大」なのか、それとも「新規獲得」なのかで、打つべき手段は変わってくるのだ。
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