舞台芸術のマネジメント専門職は「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律(劇場法)」や「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第4次基本方針)」でその必要性と養成が謳われ、アートマネジメントを掲げる大学や学部も増加するなど、文化芸術を支える仕事として認知されつつあります。しかしながら、公立の劇場・音楽堂等では、指定管理者制度導入から10年超を迎え、職員の有期契約化が著しく進むとともに、2013年の改正労働契約法により5年未満の雇い止めの可能性も懸念されるなど、不安定な雇用環境が進行しています。
このような課題に対し、Explatでは、舞台芸術のマネジメント人材を取り巻く状況を全国規模で把握し、具体的な数値を基に雇用環境改善・人材育成に関しての改善策を議論することこそが現在求められるアクションがあると考え、「舞台芸術に関わるマネジメント専門人材の労働環境実態調査」アンケートを1,040人の方々を対象に、2016年7月から2017年1月にかけて実施しました。
雇用されている割合は全体の7割に満たない
今回アンケートにお答えいただいたのは、舞台芸術のマネジメントに携わる方844人。女性が56%、男性が44%で、もっとも多い世代は30代となりました。彼らの中で、特定組織に雇用されているのは7割に満たない状況にあります。
期間の定めのない雇用契約を望んでいる
雇用期間の定めの有無に関しては「定めなし」が54%、「定めあり」が46%。なお、一般的な常雇の有期割合は22%です。公的財団の方、民間組織で働いている方のいずれもが「期間の定めのない雇用契約」を最も望んでいます。
若年層世代の雇用状況は深刻
雇用されている組織・年代別有期雇用の割合としては、20~30代の若年層の非正規雇用状況は厳しく、一般の同世代と比較しても、かなり深刻な状況にあることが判ります。
未成熟な労働環境
一般に比べ所得が特に低い訳ではないが、労働時間が長く、残業代も十分に支払われていないため、時間あたりの単価が低く、不満を抱いています。
女性にとって働きづらい状況も
有配偶率と有子率では、男女間で大きな隔たりがあることが判ります。特に有配偶率では、一般全国平均と比べると、大きな差が生まれています。
女性が多く携わる舞台芸術のマネジメントですが、結婚しづらく、結婚してもあきらめざるをえない状況が多いようです。
このままでは人材が流出するばかり
職務先変更の意向では、公的財団・民間組織で働く20代~30代の4割以上が、今すぐ変えたいという意向を持っています。また就職先変更の方法として38%が舞台芸術とは異なる業界への転職を考えています。
この状況を放置すれば舞台芸術マネジメントの人材の質は劣化。芸術的な質の向上や各種政策の目標達成は、今以上に難しくなります。
だから、次世代の舞台芸術のマネジメント人材育成のためには、労働環境の改善が急務なのです。
※インフォグラフィックはこちらよりご確認いただけます。
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