小さい衛星だし、大気圏で燃えるし。
オンラインジャーナリストにとって、クリックは命です。どうなるか予想不能な出来事があれば、さまざまな角度から記事を書き、読者の不安を煽ることができるからです。しかし、制御不能になっている中国の人工衛星「天宮1号」の落下が今週末に迫るなか、1つだけ言わなければいけません。これ、そんな大したことじゃないです。
散々あらゆるメディアで騒がれているので、こんなことを言うのはバカげているかも知れません。米Gizmodoでは、衛星が災害を起こしうる場合に米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)がどう対応するかなどを比較的冷静に分析しました。一方Reutersなどは、衛星についてより恐ろしげな記事を書いています。それなら、事実をまとめてみましょう。
地球は広大で、そのほとんどは無人の地域です。コンピュータでニュース記事を読める類人猿は人間だけなので、自分たちが重要だと尊大に思いがちですが、約5億1千万平方キロメートルの面積を持つ地球と比べると、我々は非常に小さいのです。地球の表面の75%が水であることを考えても、どれくらいの面積が有人なのかを想像するのは簡単ではありませんが、一説では地上の83%を人間が占めていると言われています。参考までに、一人が直立するために必要な面積を4平方フィート(約37平方センチメートル)とすると、全人類70億人が直立するのにおよそ1,000平方マイル(約2,600平方キロメートル)が必要となります。約5億1千万平方キロメートルの面積を持つ地球と比べると、やはり人間は小さい生き物ですね。
それに、とんでもない量の宇宙デブリが地球の周りを回っていますが、宇宙デブリで人間が死んだ事故は未だありません。Voxによれば、これまで宇宙から降ってきたものが当たったのは二人のアメリカ人でした。1977年にLottie Williamsさんの肩をかすめ、1954年にAnn Hodgesさんの腹部に当たりましたが、どちらも生還しています。
「中国の人工衛星がコントロール不能になり、地上に落下する」という見出しがクリックを稼ぎやすいからか、メディアはこの話題を盛り上げています。しかし、落下した他の人工衛星に比べるとこの衛星は非常に小さいのです。Wikipediaには過去にコントロールを失って落下した衛星のリストがありますが、なかには「スカイラブ(約69トン)」「サリュート7(約40トン)」「コスモス557(約19トン)」などもあり、多くは無人エリアに墜落しました。唯一の死亡事故は、スカイラブの欠片によって亡くなった牛一頭です。
天宮1号はまだWikipediaのリストには入っていませんが、9.375トンの重さではリストの中でも一番下に位置するでしょう。重さ的にはスクールバス一台分か、象よりやや重いくらいです。
これでもまだ心配なら、The Aerospace Corporationによれば、実際に地上に落ちてくる天宮1号は(大気圏で燃えるため)全体の10%から40%ほどだそうです。これらの破片は風の強さによって時速約30kmから300kmで飛来します。これらは大体、リトルリーグのピッチャーの投球から、プロテニスプレーヤーのサーブくらいのスピードです。
何が言いたいかと言うと、ラッキーな人は衛星が落ちてくる軌跡を見られるかもしれませんし、もしかすると、(大気圏で燃え残った)いくらかは地上の無人エリアに落ちてくるかもしれません。いずれにせよ、皆さんは大丈夫だということです。
それでも不安なら家にいればいいと思います。すぐ終わるでしょうから。
Image: Fraunhofer FHR. Used by permission via ESA
Source: Rocket Science, Reuters, Wired, Vox, The Aerospace Corporation
Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文]
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