既報の通り、サードウェーブは3月24日、PCショップ「ドスパラ 大阪・なんば店」(大阪市浪速区)をリニューアルオープンした。
PCパーツや本体は、今や買おうと思えばネット通販で買える時代。その時代にあえて実店舗を強化する狙いはどこにあるのだろうか。担当者から話を聞きつつ、開店直前の店頭見て回った。
ゆとりを持たせた店内 すれ違いも基本的には容易
PC専門店というと、パーツや本体が所狭しと並べられていて、人がすれ違うのも一苦労、という光景を思い浮かべる。
今回リニューアルされた同店は、売り場面積を約31%拡大(431平方メートル→566平方メートル)し、商品展示や通路に余裕を持たせている。リュックサックを背負った人がしゃがんで商品に見入っていても、基本的には難なく後ろから通り抜けできる。
3階のIT関連雑貨を取り扱う「上海問屋」コーナーについては、あえて通路を狭くしている部分もあるが、秋葉原別館(東京都千代田区)の1階にある同コーナーと比べると広く感じる。混み合った状態でも回遊しやすそうだ。
実店舗だからこそできることを追究
同店のリニューアルは「実店舗だからこそできること」(担当者)を追い求めたという。広がった売り場を生かした商品の“実物”展示や“体験”コーナーの設置はその現れだ。
1階にあるゲーミングデバイスコーナーでは、ゲーミングキーボード、ゲーミングマウスやゲーミングヘッドセットなどの実物が複数展示されている。同社のゲーミングPC「GALLERIA(ガレリア)」を使ったゲーミング体験コーナーも用意している。
2階のパーツコーナーでは、マザーボードやビデオカード、PCケースの一部が実物展示されている。展示対象品であれば、隣接する作業コーナー「ドスパラボ」で組みあわせに問題ないかどうかチェックすることができる。
ドスパラボは店頭で購入した商品を組み立てにも利用可能で、組み立て用機材の貸し出しも行っている。機材の貸し出しは原則として有償(100円〜1000円)だが、ドスパラの「モバイル会員」になればドライバーや基本工具は無料、その他の機材は半額で借りられる。
さらに、ドスパラボには「DOS/V Magazine」を始めとするPC自作系雑誌のバックナンバーも備える本棚や「油没PC」「ドライアイス冷却PC」(後日展示開始予定)の展示もある。さらに、週末を中心に初心者向けの「パソコン組み立て体験」も開催するという。初心者から玄人まで、広く“活用”できるスペースといえそうだ。
2階には、デジカとのコラボレーションによる「ゲーミングPCのある風景」のイメージ展示もある。このような取り組みは「ドスパラとしては初めて」(担当者)で、Steam関連ハードウェアなど、展示品の一部は購入できる。
3階の上海問屋コーナーは「ドスパラ最大規模」(担当者)で、Web通販で取り扱っているほぼ全ての商品を並べている。「大きすぎて店舗で展示できなかった」(同)というロングセラー商品「プライバシーベッドテント」も、売り場面積の広さを生かして展示している。
3階にはスマートフォン用のVRゴーグルや「HTC VIVE」などで活用できる周辺機器を取り扱う「VR(仮想現実)コーナー」もある。同コーナーではVRの体験展示も行うという。
来店客と店員の声から生まれた「実物展示」と「ドスパラボ」
“実物”と“体験”に軸を据えたドスパラ 大阪・なんば店のリニューアル。その背景には来店客と店員の「声」がある。
サードウェーブの店舗開発担当者によると、同社の幹部による店舗巡回時、来店客から「(PCや周辺機器は)ポンポン買えるような値段ではない。試してから買えるようにしてほしい」という声が直接寄せられ、店員からも「お客さまから『試してから買いたい』という声を多くいただく」というフィードバックが得られたという。
そこで、2016年12月に「ドスパラ 札幌店」(札幌市北区)をリニューアルする際、試験的に周辺機器やパーツの実物展示を行い、店頭の一角に組み立てコーナー(ドスパラボ)を設置してみたところ、好評だったことから、2017年10月の「ドスパラ 秋葉原本館」(東京都千代田区)のリニューアル時には実物展示を取り入れ、今回の大阪・なんば店のリニューアルでは実物展示に加えてドスパラボも設置した。
「店舗面積など諸条件と相談しながら」(担当者)にはなるが、同社では実物展示やドスパラボを他店舗にも広げる方針だという。
実物を試せることは、実店舗だからこそできる取り組みだ。来店客の声ではないが、安くはない買い物だからこそ、妥協せずに行きたい。そういう意味で、ドスパラの取り組みがより広がることを期待したい。
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