~先端技術で京ブランド産品の安定生産・供給拡大に貢献~
2020年7月22日
京都府舞鶴市(市長:多々見 良三、以下 舞鶴市)とKDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:髙橋 誠、以下 KDDI)は、農業の安定化と効率化を目指し、IoTを活用した万願寺甘とうのスマート農業事業(以下 本事業)を、舞鶴市で2020年3月30日から開始しました。
本年度は、万願寺甘とうにおける「日照量」「温度」などの栽培状況をIoTセンサーで見える化し、来年度には、収集した情報と万願寺甘とうの生育状況との相関を分析し、高収量生産者の好事例を生産者間で共有することを目指します。
<万願寺甘とう>
<ビニールハウス内に設置されているセンサー>
舞鶴市の人口は1985年をピークに減少 (注1) しており、少子高齢化や生産年齢人口の減少により、第一次産業における担い手不足や後継者不足が生じています(以下 本課題)。
本課題に対して、舞鶴市では社会と環境と経済が調和した持続可能なまちづくり(舞鶴版SDGs)を推進しています。先端技術を活用した生産技術の高度化などにより、豊かな自然の恵みを受けて育った農林水産物のブランド化や販路拡大を図ることで、魅力ある第一次産業の創出に取り組んでいます。
なかでも、舞鶴市発祥の万願寺甘とうは、大型肉厚で種が少なく甘く、子どもからお年寄りまで愛される夏の京野菜として「京のブランド産品」に認定されており、首都圏をはじめとした大都市圏などへの販路の拡大のための安定生産・安定供給の実現が、雇用の創出に繋がると期待されています。
一方、万願寺甘とうは、細かくブランド選果基準が設定されており、大きくて、真っ直ぐなものだけが、ブランド品として認められるため、栽培が非常に難しく、生産者によって収量にばらつきが生じている状況です。
そこで、本事業ではIoTセンサーを活用して「日照量」「温度」などの栽培情報を収集・クラウド上へ蓄積し、高収量生産者の栽培データをモニタリングの上、解析・共有していくことで栽培知見を確立し、舞鶴市全体の万願寺甘とうの安定生産を目指します。
両者は、2018年12月に地域活性化を目的とした連携協定を締結 (注2) し、その取り組みの一環として、農業の安定化における課題とICTを活用した解決策について協議してきました。
今後も、IoT/ICTなどの先端技術を活用したスマート農業事業を積極的に推進し、地域産業の発展を目指します。
詳細は別紙をご参照ください。
<別紙>
■背景
<舞鶴市位置>
1. 舞鶴市について
舞鶴市は、京都府の北東部を占め、京阪神から100km圏に位置します。若狭湾に湾口を開いた舞鶴港は、波静かな天然の良港を形成しており、京都の海の玄関口となっています。
また、山々の豊かな自然にも囲まれています。
最大の地域資源である「海・港」を生かした産業の振興、国内外とのさらなる人流・物流の拡大を図ることはもとより、全国に誇れる農林水産業や観光関連サービスなどの産業の高付加価値化、さらなるブランド力の向上を目指し、地域経済の安定、活性化を図る「活力あるまちづくり」を推し進めています。
2. 舞鶴市の万願寺甘とう栽培について
万願寺甘とうは、大正末期に舞鶴市万願寺地区で栽培されたのが始まりと伝えられる伝統ある京野菜です。万願寺甘とうは、辛み成分のない甘味種とうがらしで、ピーマンのような肉厚な果肉を有しています。さわやかな甘い香りと、ほのかなとうがらしの香りが匂う独特の風味が特徴で、辛みがないため、子どもからお年寄りまでどなたにも安心して召し上がっていただけます。
万願寺甘とうを栽培するのは、京都府内でも発祥地の舞鶴市および綾部市と福知山市の一部を加えた地域のみに限られており、1989年には特に優れた京都の伝統野菜として「京のブランド産品」第1号に認証されました。生産者グループの検品場では、細かく定めた選別基準に沿って「秀」「優」「良」の三ランクに選果し、最もすぐれた「秀品」のみが「京のブランド産品」として出荷されています。
<栽培の様子>
<京マーク ※京マークは登録商標です>
3. 課題
「京のブランド産品」として出荷が認められる「秀品」の条件は、「エボ(枝とつながっている部分)を含まない長さが13~23cm」「適期に収穫」「色艶良好」「形が良く曲がりの軽微」です。
形質的にくびれを残しているので曲がりやすく、栽培には土づくりや収穫時期まで細心の注意が必要です。万願寺甘とうの生産者はそれぞれ品質の向上のため工夫を凝らし、「舞鶴万願寺甘とう部会」の中で成功事例を共有していますが、10アールあたり収量が4トンから12トンと3倍の差が出るなど、生産者によってばらつきが生じています。そのため、栽培履歴や環境測定データの蓄積を行い、高収量生産者の栽培データをモニタリングの上、解析・共有していくことで、舞鶴市全体の万願寺甘とうの安定生産・安定供給を実現し、ブランド力向上を目指します。
■本事業の概要
1. 栽培データの見える化
IoTセンサーをハウス内に設置し、万願寺甘とうの生育に関係すると考えられる「温度」「湿度」「日照」「土壌EC(電気伝導度)」「土壌温度」「土壌水分量」「土壌pH(酸性度)」を10分ごとに収集し、クラウド上へリアルタイムに蓄積します。データはグラフ化され、パソコンやスマートフォンのアプリケーションから確認でき、自分のハウスや他の生産者のハウスの状況把握や、予め設定した値を超えた時にはアラート通知を行うことが可能です。
「散水量」は、流量計センサーを使って計測したデータをオフラインで蓄積し、定期的にパソコンやスマートフォンなどに転送することで、IoTセンサーで把握した情報に加えて確認ができます。
<設置したセンサーの構成図>
<取得したデータのグラフ>
2. 収集データの分析
1.で蓄積したデータと万願寺甘とうの生育状況との相関を分析し、高収量生産者の好事例を共有していくことで、よりよい万願寺甘とうの栽培知見の確立と収量増加を目指します。
(参考)
■KDDIの取り組み
KDDIは、これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続けるという決意をこめ、2030年を見据えたKDDIのSDGs 「KDDI Sustainable Action~私たちの『つなぐチカラ』は、未来のためにある~」 を策定しました。社会課題をリスクとして捉えるだけでなく、KDDIならではの強みを生かしたチャンスと捉え、5GやIoTなどを活用した地方創生や、途上国における低廉で高品質な通信サービスの提供など、事業として利益をあげながら、さまざまな社会課題の解決を図ります。
なお、本事業は「KDDI Sustainable Action」の「暮らしをつなぐ~地方・都市の持続的発展~」に該当します。
<KDDI Sustainable Action~私たちの『つなぐチカラ』は、未来のためにある~>
■KDDIの地方創生
KDDIは、SDGsの達成に向け、事業を通じて解決する社会課題の一つとして、地方創生および教育事業に取り組んでいます。人財育成、ICTを活かしたビジネスの知見やファンドを軸にした地域企業のサポートに加え、教育における地域格差を解消するための環境整備もあわせて推進していきます。
地域や企業とのパートナーシップにより、サステナブルなビジネスモデルを構築し、課題を継続的に解決できる「地域の明日」を創っていきます。
<KDDIが目指す地方創生の姿>
KDDI ニュースリリースで全文を見る
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