情報処理学会の学会誌「情報処理 55号(2014年10月号)」で「モノづくりの現在 -DIYから製造まで」というMake特集があり、「ボクらはなぜ,作るのか─「楽しむ」ことから世界は変わる─」(PDFです、僕が書いたぶんは許可を得てまるごと公開します)という原稿を書きました。 全体の構成は以下のようになっています。 1.ボクらはなぜ,作るのか -「楽しむ」ことから世界は変わる- (高須 正和) 2.研究者のモノづくり -インタラクション研究のための段階別プロトタイピング(神山 洋一) 3.放課後のモノづくり -個人と企業の狭間の「インディーズ」研究開発(田中 章愛) 4.プロのモノづくり -ハードウェアビジネスの現在(岩佐 琢磨) 5.「作る」を作る -スマホ連携ツールキットkonashiの場合(青木 俊介) 6.ユメをカタチに -ハードウェア起業の「壁」を越えた先へ(岡島 康憲) 各界でバリューを出してる人たちが書いていて、実際におもしろい特集です。Amazonで全体の冊子を売っています。僕以外の著者の方を簡単に紹介します。 「2.研究者のモノづくり -インタラクション研究のための段階別プロトタイピング」の著者である神山さんは、慶應義塾大学メディアデザイン研究科で、研究のためのプロトタイプを数多く作っています。自然科学の研究はコンピュータ上で物理シミュレーションすることが多いのですが、インターフェース系の研究はプロトタイプをたくさん作る必要があります。 「3.放課後のモノづくり -個人と企業の狭間の「インディーズ」研究開発」の田中さんは、SONYで働きつつVITROというMakerユニットなど、大企業の組織から離れたところでMake活動を行っています。その活動が企業にフィードバックされ、SONY内でのMakerスペースの開設に繋がったりしている人です。 「4.プロのモノづくり -ハードウェアビジネスの現在」の岩佐さんは、Cerevoという会社で「少人数でもハードウェアを量産して売る」というハードウェアベンチャービジネスをはじめた、国内の先駆者の一人です。 「5.「作る」を作る -スマホ連携ツールキットkonashiの場合」を書いた青木さんは、「プロトタイプを作りやすくするためのツールキット」を作っていて、「作るための道具を作る」をしている人。 「6.ユメをカタチに -ハードウェア起業の「壁」を越えた先へ」の岡島さんは、DMM.Make Akibaでハードウェアを作ろうとしている人に、もの作り以外の部分を含めた様々なサポート、たとえば起業のアドバイスなどをしたりしている人です。 Make界隈でさまざまに活躍している人たちが「モノづくりの現在」について書いているわけですが、僕が執筆を依頼されたのは「Makeの原点」みたいな話でした。 Makeのお膝元はアメリカのMakerMediaという会社(2014年に米オライリーから分社。日本では、「オライリー・ジャパンのMake部門」が引き続きMake活動を牽引しています)で、本拠地はMake:Magazineという雑誌です。僕はオライリー・ジャパンの人たちに機会を与えてもらって、2012年にはMakerMediaの発起人で今も社長を務めているDale Dougherty(『僕らはみんな何かの作り手だ!』)、2013年にはMake:Magazineの編集長Mark Frauenfelder(『「Makeすることで世界は変わる」~「Make」編集長が語るMakerムーブメント』)にインタビューを行ったことがあり、そこを踏まえて書いて欲しいという依頼でした。 彼らはいわばMakeの教祖なので、彼らが唱えている考え方は、Makeの原理主義みたいなものだと思います。Daleは「作ることを楽しみ、シェアしましょう」とさまざまな機会に繰り返し語っています。彼の語る"シェア"には、「相手のための奉仕」という意味合いはほとんど無く、「お互いがより楽しむために、Makeの行為を見せあって楽しもう」というものです。...
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