2018年3月24日土曜日

Netflixの「視聴ステッカー」機能テスト、子どもたちにイッキ見をうながすとして停止へ


イッキ見(ビンジウォッチング)は大人だけじゃないですよ。

Netflix(ネットフリックス)は、常に地域やユーザーを限定しながら新しい機能を試験運用しています。しかし、最近テスト導入された機能が、子ども保護団体から批判を呼んでしまったようなんです。Varietyによると、先日Netflixは子ども向けの番組のいくつかに「パッチ」という、集めるステッカーのような機能を試験導入しました。

パッチ機能は『フラー・ハウス』や『トロールハンター』、『シリーズ・オブ・アンフォーチュネート・イベント』といった番組を見ると、視聴したことを示すデザインのステッカーが画面上の景品としてもらえる仕組み。これを集めたからといって追加で何か新しいコンテンツが見られるようになるわけではありませんが、どうも子どもたちはこの新しい景品をすごく気にいったようだとVarietyは報じました。

このテスト機能についてNetflixに確認をとったところ、広報担当は米Gizmodoに対してこのようにコメントを返しました。

一部の子ども向け番組を対象に新しい機能をテストしています。収集アイテムを導入することで、Netfilxでよりインタラクティブな体験をしてもらうためです。子どもたちが話題にできるような面白い要素を追加し、彼らが好きな番組についてシェアできることを目的としています。テストを行なうことで我々は学び、今後の体験の一部になるかどうかを決定します

今回は限定的なテストだったようですが、このパッチ機能に対して「子どもの不健全な視聴習慣を促進してしまう」と懸念を表明したのが「コマーシャル・フリーな子どもたち・キャンペーン(CCFC)」団体。CCFCは、企業が子ども向けのマーケティングを行なうことに対して懸念を表明する非営利団体です。

CCFCのエグゼクティブ・ディレクターであるJosh Golinさんは「この機能は子どもたちを(テレビのコンテンツに対する)ロビイストにしてしまい、両親による制限を弱めてしまう」と語ります。彼は米Gizmodoに対し、このようにコメントしました。

テクノロジーがどんどん人間の生活に侵入するようなデザインになってきていることに対し、全国的な議論が起きています。これらのテクノロジーは、ユーザーの健全な生活を犠牲にしてでもテック企業たちが利益をあげるようにデザインされています。そんな議論が起きているなか、Netflixがこのような機能を試験運用することは私には信じがたいです

画面を見る時間が長くなれば、子どもの成長にどのような悪影響を与えるのか、多くの人が懸念を表明してきています。CCFCが懸念しているのは、この新しいステッカーによる報酬システムによって、子どもたちが報酬を求めてさらにコンテンツに病みつきになってしまうのではないか、ということです。

子どもたちは物を集めることが好きです。この新しい機能は、Netflixをもっともっと観たくさせるのに非常に効果的でしょう。このテクニックがどういう仕組みなのか、子どもたちは理解することができません。また、成長の途中である彼らはこの(マーケティング)手法に負けてしまい、自分たちにとって悪影響を及ぼす活動にどんどんと従事することになります

こちらのGolinさんの指摘は、たしかに一理あります。何が広告で何がマーケティング戦略かを選別できない子どもたちが、コマーシャルの対象になることには危険性が潜んでいるでしょう。たとえばしゃべる人形「My Friend Cayla」が「ディズニーランドに行きたい」とディズニーの広告のような発言を子どもに向けて言っていたことが判明したときには、大きな議論を呼びました。

Netflixは、このステッカー機能が大量のコンテンツを一気に視聴するいわゆる「イッキ見ビンジウォッチング)」を促進するものであったり、ステッカーを収集することで新しいコンテンツが見られるようになることはない、と否定しています。実際、ステッカーの数によって新しいコンテンツにアクセスすることはできませんし、複数のエピソードを見てステッカーを禁止するということもありません。しかしいっぽうで、収集するステッカーには錠前のデザインがあしらわれているんですよね…子どもたちの収集欲に訴えていることは確実でしょう。

Golinさんは子どもたちがどれだけの時間テレビを見て費やすかということに関して、両親は厳しいルールを決めるべきだといいます。またこのステッカー機能が今後本格的に導入されるか否かにかかわらず、自分の子どもたちが見るコンテンツについて話し合いの場を持つべきだとしており、以下のように強く反対を表明しています。

正直言って、Netflixがもしもこの機能を本格導入し、子どもたちのメインのアクティビティとなる場合は、親はNetflixの退会を考慮すべきでしょう

ちなみに、この機能に関する報道のあと、Netflixは「パッチ」機能のテストを終了したようです。さらに試験運用だけでなく、この新機能は導入しないことも決めた、とコメントが送られてきました。

ステッカー機能のためのテストを終了しました。そして、子ども向けのこの機能は導入に向けて進めないことで決定しました。どのような機能がうまくいくか、どうしてうまくいかないかを学ぶために、Netflixでは多くのことをテストしていきます

テクノロジーで子どもの楽しみが増えるのは良いことですが、「こんな機能が導入されたらウチの子はもう画面から離れなくなってしまう!」という悩みは切実です。今後もこういった試行錯誤はテック側からも、保護者側からも続けられていくでしょう。

Image: Twin Design/Shutterstock.com
Source: Variety

Sidney Fussell - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)



ギズモード・ジャパンで全文を見る

0 件のコメント:

コメントを投稿