2018年3月3日土曜日

<速報レポート>グループディスカッション講座with時雨会『第2回Japaningゼミ』開催

 

 リクルートスタッフィングでは、2015年後半より外国人留学生(以下、留学生)の派遣サービス「Japaning」を開始し、留学生が普段の学生生活や就業する機会が多い飲食店やコンビニエンスストアでの仕事では体感することが難しい、より高度な日本語を使った業務や日本企業の文化を知ることができる就業環境の提供に努めています。

 今回のイベントでは、就職活動シーズンを目前に、留学生向けの日本企業の就職活動支援を行っている時雨会のご協力の元、日本での就職を希望する学生に、日本の就職活動において欠かせないグループディスカッションの講座を実施しました。

【増加する外国人留学生の日本企業への就職活動と課題―実際の就職は希望者の約半数という現状】

  まず、「Japaning」事業責任者 塩澤真宏より、留学生の日本企業への就職活動の現状と派遣の役割、日本の就職活動における留意点を紹介しました。

■外国人留学生の就職活動に関する現状

 年々、外国人留学生の数は増えており、平成29年5月の独立行政法人日本学生支援機構の調査では前年から約2万7千人増の26万人超えとなりました。留学生数の増加に伴い、日本企業へ就職する学生も増加しており、平成28年2月の経済産業省の調査では、日本の大学で学んだ外国人留学生のうち、学部・修士課程卒の学生の約7割が日本での就職を希望しています。

 しかし、実際にはそのうち約4割しか就職していないことが分かっています。その原因に、日本語能力不足や日本ならではの就職活動の慣習を理解出来ていないことが挙げられます。「平成26年度 外国人留学生の就職及び定着状況に関する調査結果(経済産業省)」では、企業から見て、留学生が就職活動で改善してほしい点として挙がったのが「日本語能力が不十分」、「日本企業における働き方の理解が不十分」でした。

■外国人留学生の就職活動における派遣の役割

 また、クオリティ・オブ・ライフ社(リクルートスタッフィング協力)のアンケート調査では、ビジネス日本語やビジネスマナーは在学期間中の“就業経験”から身につけることが多いことが分かっています。留学生の在学期間中の就業は、飲食店やコンビニエンスストアでのアルバイトが多くなっていますが、就職した後に必要な高度な日本語や企業文化を学ぶという点において、物足りないと感じる留学生が多いといった課題がありました。

 そこで「Japaning」では、派遣スタッフとして、より高度な日本語を使った業務や日本企業の文化を知ることが出来る職種を紹介しています。主には、販売系職種の紹介を行っており、携帯ショップ(来店客のご案内、契約業務等)や、百貨店内でのアパレル(洋服販売、通訳、商品管理等)などを紹介しています。

【実践(二項対立形式)/グループディスカッションの流れ、最低限の注意点】

 時雨会・講師 井上雄太さんより、グループディスカッションの流れ、最低限の注意点を教えていただき、その後、実際に5人1組で二項対立形式のグループディスカッションに挑戦しました。

■誰かを論破するのではなく、みんなで一緒に通過することを考える

 グループディスカッションのポイントで留学生が最も注目したのは、「討論中に意識すべきことは、論破して誰かを蹴落とすのではなく、みんなで通過する」という点でした。井上さんは、一緒のグループのメンバーは敵ではなく、議論を一緒に深めるメンバーであり、自分の見解は固定しないで、多角的な視点で主張と理由を出し続けることを目指すことが大切だと説明しました。

■お題で出されるワード等の曖昧な概念をなくす

 実践の場で留学生が最も苦労したのは「言葉の定義を統一すること」でした。出題されるお題は定義が曖昧であることが多く、その定義を放置すると、メンバー間で方向性の違いが出てしまいます。練習問題で出された「住むのなら、田舎がいいか、都会がいいか」というお題では、最初は各自の「田舎」「都会」の定義が違うことに戸惑っていた様子が見られましたが、井上さんの言葉を元に、お互いに言葉の定義に対してすり合わせを行い、スムーズにディスカッションに進んでいました。

 30分実践、20分フィードバックというセットを2回行い、参加者の表情には集中による疲労と共に、グループの仲間と深い議論ができたという充実感が溢れていました。最後に井上さんより「グループディスカッションは何よりも慣れが大事、どんどん実践で練習してください」という言葉をいただきました。  

【イベント参加者のコメント/陳克非さん】

 現在、経営学部に通っており、日本の長寿企業のマネジメント方法を知りたいと日本での就職を希望しています。一人だとどうしても情報が得られなかったり、エントリーシートの日本語の修正もできないですが、同級生も就職活動で忙しく、頼り先を見つけるのが難しいです。今回参加して、実践の後に改善点をきちんと指摘してくださったのが嬉しかったです。二項対立形式でのディスカッションは初めてでしたが、最初に井上さんが言っていた「相手を負かすのではなく、議論を深める」という言葉の意味を深く実感しました。

【「Japaning」事業責任者 塩澤のコメント】 ■始めは、サービスが留学生の就職活動支援になると考えていなかった

 今回のイベントの開催は、「Japaning」に登録いただいている留学生から「就職相談を気軽に出来る場は無いですか」と言われたことがきっかけでした。当初「Japaning」は、留学生の日本での就職活動支援を想定して始まったわけでは無かったのですが、サービスをスタートしてみると、留学生から就職活動の相談を我々が受けるということが度々起こりました。これは日本で就職活動をする外国人留学生が増えていることに加え、日本の新卒就職慣習に留学生が何らかの悩みを持っていることも起因していると思います。

 留学生への就労支援は日本国内では少ないのが現状です。また既存のサービスは、就職先のマッチング的な要素が大きく、就職活動が始まった時に点となって現れるものが多いので、そこに至るまでのサポートを受けておらず、就業に必要な日本語力や就職への情報不足によって「時すでに遅し」という状況が多いのも実情です。

■企業側の悩みと留学生側の悩みの両方を解決出来るサービスが生まれた

 元々、我々の部署では日本人向けに販売系職種のお仕事を紹介していましたが、ここ数年、人手不足とインバウンド対応といった2つの課題が顕著になってきていました。

 そこで、考えたのが留学生に販売系職種で活躍してもらうことです。外国人留学生は学校が休みの土日祝日に働きたいと考えている一方で、販売系職種は土日祝日が繁忙で人手を必要としているにも関わらずシフトが埋まりにくいという現状がありました。「Japaning」で働いている留学生の中に日本企業に就職したいと思っている人が多いというのは、サービスを始めてから分かってきたことですが、結果として、働いている留学生にとっても収入以上のメリットが生まれているということは大変嬉しく思っています。そのメリットがより大きくなるように我々もサポートしていきたいと考えており、例えば紹介するお仕事においても、インターンシップのような経験が出来るオフィスワークのお仕事や、日本語力アップがダイレクトに期待出来るコールセンターのお仕事など、職種の幅が段々と増えてきております。

※「Japaning(ジャパニン)」とは

働くことも、“日本を学ぶ”ことだから。

 大きな夢を持ち日本を選んだ海外留学生たちは、アルバイトがしたくても情報不足や習慣の壁に阻まれ、理想の仕事に就けないことがあります。また、平日は学習に充て休日に効率よく働きたいという希望も持っています。一方、リテールサービスの現場では、訪日外国人の増加によるスタッフの語学力不足や慢性的な労働力不足という課題を抱えていました。

 私たちは、この二つの課題に着目し、留学生向けの派遣サービスをスタート。多様な就業機会の創出とキャリア支援を行っています。また、法律上週28時間までしか働くことができない留学生の労働時間管理システムを提供し、クリアな労働市場の形成を目指して参ります。



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