2018年3月27日火曜日

パナソニック、事業所跡地をスマートタウンに--「Tsunashima SST」で挑む未来の街づくり

 パナソニックは3月26日、神奈川県横浜市に「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」(Tsunashima SST)の街びらきをした。タウンエネルギーセンター、水素活用拠点、スマート技術開発施設とともに、商業施設、居住空間が一体化した都市型スマートタウンと位置づける。

「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」(Tsunashima SST)

街びらきを記念して鏡割りが行われた

 Tsunashima SSTは、2015年3月にプロジェクトとして発表。神奈川県藤沢市にある「Fujisawa SST」に続く街づくりの第2弾になる。Fujisawa SSTが戸建て住宅と集合住宅から成る大規模で郊外型のスマートタウンだったのに対し、Tsunashima SSTは、商業施設、学生寮、居住空間、企業の研究施設などが一体化した多様な施設を持つ都市型のスマートタウン。「多様な施設と住宅をマッチングさせ、共創していく」(パナソニック執行役員の井戸正弘氏)ことを目指したという。

 東急東横線の綱島駅から徒歩約12分の場所に位置し、敷地面積は3万7900平方メートル。パナソニック、野村不動産、ユニー、JXTGエネルギー、慶應義塾大学、綜合警備保障(ALSOK)、サンオータス、本田技研工業、大林組がまちづくり運営協議会に加わり、計8団体が街の運営に携わる。

Tsunashima SSTに携わる企業や大学など

 商業施設「アピタテラス横浜綱島」(ユニー)、学生寮「慶應義塾大学SST国際学生寮」(慶應義塾大学)、集合住宅「プラウド綱島SST」(野村不動産、関電不動産開発、パナホーム)のほか、低炭素で災害に強いエネルギーを供給する「タウンエネルギーセンター」(東京ガスグループ)、水素供給設備を整えた「横浜綱島水素ステーション・スイソテラス」(JXTGエネルギー)など次世代エネルギー供給施設や、企業の技術開発施設としてアップルが「YTC」を設けるなど、産学による多様な施設な集まる。

アップルのスマート技術開発施設「YTC」

「横浜綱島水素ステーション・スイソテラス」

 パナソニック×慶應義塾大学×Tsunashima SSTによる「Tsunashima SST Lab」もスタート。ここでは、慶應義塾大学の学生からアイデアや研究テーマを募り、パナソニックや協賛企業が技術やノウハウを提供していくことで、新たな事業を生み出す場と位置づける。Tsunashima SST内を、実証フィールドとして活用するなど、単なるアイデア出しにとどまらず、実証実験から事業化までを見据える。

パナソニック 代表取締役社長の 津賀一宏氏

 パナソニック 代表取締役社長の 津賀一宏氏は「Tsunashima SSTは、松下通信工業が長年事業を営んできた場所。私自身も新入社員の頃、研修や実習を受けた思い出の地でもある。この跡地がこのように新たなスタートを切れたことを感慨深く感じる。2014年に横浜市、野村不動産、パナソニックの3者で具体的な協議を開始し、以降多くの知恵や技術をいただき、まさに共創による街づくりを推進してきた。さらに共創範囲を広げ、自治体、大学、企業、住民の方とも一緒に綱島を基点として未来の街づくりを推進していく」とコメントした。

 スマートタウン内には、湿度、温度、花粉の量などをリアルタイムで計測できる「環境センシングユニット」を5カ所設置しているほか、カメラ内で画像解析することで、街に訪れる人の数や性別、年齢を見える化する屋外画像認識センシング「Vieureka(ビューレカ)」、温度分布センシング「Grid-EYE(グリッドアイ)」などのIoTセンシング機器を設置し、街全体をデジタル化することで、質の高い暮らしを提供。街の安全を見守るセキュリティカメラを100台設置したほか、ALSOKによる「かけつけ15分」の実現など、万全のセキュリティ体制を整える。

スマートタウン入口に設けられた、屋外画像認識センシング「Viereka」(上)と環境センシング「環境センシングユニット」

スマートタウン内にあるサイネージでは、電力の使用量などを見える化している

 同日には、大阪吹田市の工場跡地に第3弾となるSSTプロジェクト「吹田SST(仮称)」を展開することを発表。吹田SSTでは、多世代居住、地域共生、健康介護をテーマに、介護や療養が必要になってから住む場所ではなく、健康なうちから住み、介護や医療が受けられるスマートタウン作りを目指していくとのこと。こちらは2022年の街びらきを予定している。



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