2018年4月2日月曜日

[ITmedia ビジネスオンライン] 「ワイモバ」トップが熱弁 躍進の裏に“ウィルコムの教訓”あり

 格安SIM市場の中でシェアトップにいつづける、ソフトバンクのサブブランドMNO(移動体通信事業者)「Y!mobile(ワイモバ)」。通信品質の高さと価格の安さを両立している点が特徴で、近年は女優の桐谷美玲さんらを起用した大規模なテレビCMを展開。続々とユーザーを獲得している。

 躍進を続けるワイモバ事業のトップを務めるのが、ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 本部長の寺尾洋幸執行役員だ。寺尾氏はかつてPHSサービスを展開していたウィルコムで、マーケティング部門のトップや執行役員を歴任した経歴を持つ。

photo ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 本部長の寺尾洋幸執行役員

ウィルコムは2010年に破綻

 ただ、ウィルコムのPHSは破格の料金プランで人気となったものの、携帯電話事業者(キャリア)や競合との競争に屈し、2010年に経営破綻。同年に支援に名乗り出たソフトバンク(SB)の子会社となった後、14年にグループ内のイー・アクセスと合併。PHSサービスのみを残し、法人としては消滅した。

 ワイモバは14年8月、イー・アクセスとウィルコムのPHSブランドを統合する形で誕生した。寺尾氏はソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長からワイモバを任され、その成長を一身に担ってきた。

その後、格安SIM市場には新たなプレイヤーが次々と参入。競争は激化の一途をたどるが、ワイモバは市場で確固たる地位を築いている。ワイモバはなぜ、厳しい環境で生き残ることができているのか。ウィルコムでの経験は、どのような形で今に生かされているのか。寺尾氏に話を聞いた。

photo WILLCOM向けに開発され、人気を呼んだ端末「HONEY BEE」シリーズ(京セラのプレスリリースより)

前進なければ死あるのみ

 「ワイモバは、回遊魚のサメやマグロと同じ。常に前進しなければ死んでしまう」――開口一番、寺尾氏はこう話した。

 「ウィルコム時代に人気が出たプランは、他社がこぞって取り入れ、プラスアルファを付けて展開した。その結果ユーザーが流出し、経営が苦しくなった。この経験から、いったん成果が出ても、陳腐化する前に次の手を打たないと競合にやられることを学んだ。ワイモバでも気を抜くわけにはいかず、『勝った』とは一切思っていない」(寺尾氏)

 ワイモバ誕生後も、ブランド誕生時から続ける、データ容量をS・M・Lの3種類に絞った「スマホプラン」を他社が取り入れるケースが続出。現時点では、14年10月にスタートした楽天のMVNO「楽天モバイル」や、14年12月に立ち上がったKDDIのサブブランドMVNO「UQ mobile」が類似した料金プランを設けている。

学割サービスにも他社が追随

 17年12月には、学割サービス「タダ学割」を例年よりも一足早くスタートした。他社からのMNP(番号ポータビリティ)などによって新規契約を結んだ5歳〜18歳のユーザーを対象に、各プランの基本料金を3カ月間無料とするもので、発表後は開始時期の早さと割引率の高さから大きな反響を呼んだ。

 すると「タダ学割」開始から1週間で、UQ mobileがすぐさま同様のサービス「UQゼロ学割」を開始。他社がワイモバの施策に追随する流れはいまも続いている。

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