2018年4月28日土曜日

[ITmedia ビジネスオンライン] 出世するオジサンが、孤独の迷宮に入りやすいワケ

土曜インタビュー劇場(ぼっち公演):

 今、世界各国で今世紀最大の「伝染病」として危惧されていることがある。「孤独」だ。

 「孤独が伝染する? 意味が分からない」と思われたかもしれないが、例えば、英国では高齢者を中心に孤独に苦しめられている人が急増しているという。こうした深刻な事態を受けて、英国では「孤独担当相」が新たに誕生したほど。

 このニュースは世界中を駆け巡ったにもかかわらず、「自分には関係ないよ」と受け止めてはいけない。「最も事態が深刻なのは日本人だ」と指摘する人がいる。『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著者、岡本純子さんだ。

 夜の繁華街に足を踏み入れると、会話を楽しんでいるオジサンがたくさんいる。にもかかわらず、なぜ“ひとりぼっち”になりやすいのか。岡本さんに、孤独の現状や背景などを聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

 →なぜオジサンは「孤独」の犠牲者になりやすいのか(前編)

 →後編、本記事

土肥: 前回、世界的に「孤独」が問題になっている、といった話を聞かせていただきました。英国の市民団体が行った調査によると、「寂しい」と感じている人が68%もいて、「5年前より、人との関わり合いが減った」という人が38%もいる。こうした傾向は英国だけでなく、米国、オーストラリアなどでも広がっていて、世界各国で「孤独は伝染病だ」として危惧されている。

 高齢者を中心に孤独に苦しめられている人が増えているのにもかかわらず、日本は我関せずといった雰囲気が漂っていますよね。孤独は深刻な病のひとつと言われているのに、そうした情報を知っている人は少ない。いや、書店に足を運べば「孤独を知る人は美しい」「孤独を味わえる人は選ばれし人」といった感じで、美化されている本がズラリと並んでいる。

 「孤独はいいことだ」と思っていたのに、オジサンになって気づいたら心身に影響が出てしまった……。そんな状況にならないためには、どのような点に気をつければいいのでしょうか?

岡本: 孤独の世界にどっぷりつからないために、何をすればいいのか。やはり人とのつながりは欠かせなくて、そのためには「コミュニケーション」という基礎体力が必要になります。ただ、オジサンのコミュニケーションにはさまざまな問題があります。例えば、相手をほめません。

 米国は子どものころからとにかくほめて育てる文化なので、ほめる言葉がたくさんあるんですよね。例えば、日本の「すごい」だけで、Super、Fabulous、Amazing、Fantastic、Terrific、Awesome、Marvelous、Brilliant、Great、Excellent、Wonderfulなど50種類以上あって、お互いをひたすらほめあっている。ほめあうことによってうまくコミュニケーションをとっているのに対し、日本はどうか。ほめ言葉で連想することは「お世辞」「社交辞令」「おべっか」「二枚舌」など否定的に表現することが多いですよね。

 このように言うと、「日本の文化なんだから仕方がないじゃないか」と思われるかもしれませんが、ほめられたいと感じている人は多い。1000人のビジネスパーソンに「ポジティブなフィードバック(ほめる、評価する)とネガティブなフィードバック(叱る、責める)のどちらにやる気を刺激されますか?」と聞いたところ、どのような結果が出たと思いますか?

孤独にならないために、何をすればいいのか

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