2018年3月20日火曜日

[ITmedia エンタープライズ] 損保ジャパン日本興亜、音声認識AIによるコールセンター支援システムを本格導入 NTT Comと新機能の共同実証も

 損害保険ジャパン日本興亜(以下、損保ジャパン日本興亜)は2018年3月19日、音声認識AIを活用してオペレーターを支援する「アドバイザー自動知識支援システム」を、2018年3月から全国のコールセンターに本格導入すると発表した。併せて、同システムの機能強化を図るため、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)とAIを活用した新機能の共同実験を開始する。将来導入を計画している音声自動通話対応を見据えた実験だという。

 アドバイザー自動知識支援システムは、NTTグループの音声マイニングシステム「ForeSight Voice Mining」とAIエンジン「corevo」を活用したオペレーター業務の支援システム。ForeSight Voice Miningにより、顧客とコールセンターのオペレーターとの通話内容をリアルタイムにテキスト化して、その内容からcorevoが重要な語を自動認識し、FAQから最適な回答候補をオペレーターのPCに表示する。

 損保ジャパン日本興亜では、2016年2月1日から自動車保険、火災保険、傷害保険などの一部のコールセンターに同システムを導入。導入後にAIの学習を深めた結果、音声認識精度が当初の80%台から95%に近づき、質問に対する回答候補の表示精度は80%を超える成果を得たことから、全国のコールセンターへの本格導入に踏み切ったという。

Photo 共同実験のイメージ

 併せて、NTT Comと実施する共同実験では、「顧客の用件の自動抽出」と「知識の自動獲得と文章の自動作成」を担う新たな機能について検証する。

 現在のシステムでは、顧客との通話で複数の発言があった場合、どの発言に関連した回答候補を表示するかは、アドバイザー自身が選択する必要があるが、実験ではこれを自動化。会話の中で、どの発言が重要なポイント(顧客の用件)であるかをcorevoが自動で把握し、関連する回答候補を表示する。回答の正確さや迅速さの向上効果を検証するとともに、ポイントが自動表示されることで応対履歴の入力作業が効率化されるため、その効果についても検証する。

 また、コールセンター業務を支援するAIは、事前に用意されたQ&A形式のデータベースから適切な回答を探し出すのが一般的だが、今回、AIが知識を自動獲得する機能を追加。文書の構造(表も含む)をcorevoが自動的に認識し、パンフレットや契約のしおりなどの既存文書をAIが“読む”ことで、そこに書かれている内容を新たな知識として獲得し、回答文を自動作成する。Q&Aにない質問にも対応できるようになり、人間がQ&Aを作成する業務負荷の軽減も見込まれることから、その効果を検証する。

 両社は、共同実験を通じて、電話問い合わせにAIが音声で自動回答する「AIによる自動通話対応=バーチャルアドバイザー」の実現を目指すとしている。

Photo 目指すコールセンター像

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